正直言って、高校3年生になった時、大学に進学出来るほどの学力は備わっていなかった。
ただ、担任の先生に就職を勧められたとき、「あぁ、そこまでマズイことになってるのね」
と認識することが出来たのである。



おいらが通っていたのは、一応進学高。



就職が悪いとは決して言わない。
目的を持って、大学進学よりも早く社会に出るのならOKだろう。
でも、大学に行けなかったから就職しちゃいました的なのは、ダメだと思う。



結果、頑張って浪人せずに大学に進学できた訳だけど、問題は何故地元の大学に行かなかったか。


-----------------------------------------------------------------------

大学生になるというのはどういうことか。
連れ(友人)も行くし、おいらも行っとくか。



「Namizo-はどこの大学に行きたいか決めたん?」


「いや?想像もしてねーよ」


「そうなんや、オレは東京に行きたいんよね」


「東京?えらい都会やん」


「やっぱ男は東京でしょ?」


「そーなん?」



高校の友人は大学進学の時に、真っ二つのグループに分かれた。



地元大学に進学する組と県外大学に進学する組。



地元大学に進学する組の多くは、バイト代が自由に使える、車を持てるなどの理由が多かった。
親にパラサイトしてバイト代全部使えるし、家賃とか食費なんてかからないし、
広島は車経済(移動の主体は電車よりも車の方が便利)だから、車持ってりゃ、
デートもいっぱい出来そうやね。いいなぁ。


おいらもそうしようかなぁ。



県外大学に進学する組は更に二つに分かれ、筑波大学のように都会ではない国立目指す組と、
私立の街中にある大学を目指す組とに分かれた。
国立大学目指す組は、おおよそおいらと生活様式も違っていたし、
そもそも就職勧められたおいらは、今更5教科も人並みに出来るようになる自信がなかった。
なので、私立の街中にある大学目指す組のことについてだけ触れるとする。


県外の私立大学に行くということは、車もバイト代全部使えるリッチな生活も諦めなきゃいけない。
かわりに手に入るのは、独り暮らしという自分だけの城である。


これは欲しい。



う~ん、車+お金か、独り暮らしか。



ちょっと待てよ?


そもそも大学卒業したらどうなるんだっけ?
ずーっと実家でパラサイト生活を続けるわけにはいかないよなぁ。




・・・・・・・・・・・


「ねぇねぇ、聞いたざます?」


「何がざんしょ?」


「Namihe-さんとこのNamizo-君、30にもなってまだ実家にいるざますわよ」


「あらやだ。そーなんざます?昔はやんちゃばかりしてたのに、行くとこないのかしらねー?」


「きっとそうざますわよ。あの子ほら、ちょっと社会に馴染めなさそうじゃない?」


「あらー、大変ねー。」


・・・・・・・・・・・




・・・まずい。



この選択はデカイぞ。



簡単に手に入る車とお金を選んじゃいけねぇ。


後でどうなるかわかったもんじゃねぇ。


出よう。今すぐウチを出よう!


で、どこ行く?




よし、東京や。


ちょうど従兄弟も東京住んでるし、ちょっくら偵察にいってみよう。



て、そもそも東京にどんな大学があんの?


偏差値表みよう。


え~っと、なになに?偏差値50?


ダメだな、そんな平均の大学なんて行く気しねー。


55ぐらいいっとくか。


ちょい上よ的な。


おぉ、いいねー。


おーいっぱいあんじゃん。


なになに?


千葉工業大学?


おぉー、いいねー千葉いいねー。


東京近いんかいな?


日本地図見てみよう。


げっ!


遠。


却下。


街中よー街中。


関東学院大学?


うう~ん、もうちょい上がいいかな。



・・・



・・・なかなか無いもんやな。


(行ける)大学が少ねー。


天下の東京、おいらには向いてないのか?



・・・



お!


おぉ~!


あった、奇跡やん。


来たわー。


おいら、見つけた。


運命の大学。


いいねー、女子比率高いし!


ここや。


ここ見に行こ。


ささ、従兄弟に連絡ー。




つづく。