M 「大分県の山中に篭ってました」


Namizo- 「嘘付け!今どき小学生でももっとましな嘘付くわ」


M 「本当なんです」


N 「ま、じゃ仮にそうだとしてよ、何で?」


M 「おいしい水を探してました」


N 「は?(おいおい本気かい?)コンビニでも売ってんじゃん」


M 「いえ、湧き水です」


N 「わかった(もうこの話題には触れまい)」


N 「で、どうしたいの?」


M 「やめたいです」


N 「(スットレートやねー。マジびっくらこいたわ)そうか、なんでそう思う?」


M 「自信がないです」


N 「まだ2ヶ月よ」


M 「いや、でもみんな凄すぎて。。。」


N 「そうか、ま、気持ちは受け取るわ。でもオレや同期以外にも話聞いてみたら?昼飯食いにいこか」



岡本 を呼び、昼飯を食べながら話をすることにした。



本当に本人が辞めたいと思うのであれば、それを無理矢理止める必要はないし、
そもそも本人が気乗りしないことはストレスも多いし、結果も出にくくなる。



でも、自分が目標としている場所まで行く時に、今目の前にある壁を越えるしかなく、
その壁から、ただ逃げようとしているのであれば、それは絶対に良くない。
そういうことであれば、人として、上司として絶対にウンと言ってはいけない。



Mの行きたい方向はどこなのだ。
















あー、忘れてた。宇宙だったんや。



壁とか、そんな次元じゃないよね。



もう任せる。君のインスピレーションに。



ただ、ここにもうちょっと居たいと思ったら、そうしたらいいし、
いやもう絶対に無理と思ったら言ってくれたらいいし。
そーしよ。



昼飯を食べ終わった後、Mはボソっと言った。


「もうちょっと、居てもいいですか?」


えっ?何が響いたの?どの部分?岡本、何か俺達いま良い事言えてたっけ?
聞いたおいらと岡本は唖然とした。いや、まー嬉しいっちゃ嬉しいけど、
もしまた辞めたいって言ったら、絶対に止めれないよね。うん、無理だわ。


「そうか、頑張ろう」


それだけしか言えなかった。



夜、ビーサンとかN島とか、みんながプチ家出の話を聞こうと、Mを居酒屋に連れ出していた。
物事を必要以上に大袈裟にしない。帰ってきたら暖かく受け入れる。
こういう所はほんと良いチームだなぁと思う。
さすが結束力No.1。自称だけど。





翌朝、ビーサン


「Namizo-さん、ちょっといいですか?」


というので、何?と話を聞いていると、


ビーサン 「あいつ、マジ宇宙っすわ~」


Namizo- 「知ってるよ、大分の話だろ?」


ビ 「腕、見ました?」


N 「いや、見てねーけど」


ビ 「手首から肩まで、ブワ~って、ブッツブツですよ!すっげー数の蚊に刺された痕」


N 「(!)マジ話(マジバナ)だったの?大分で旨い水探し」


ビ 「全然マジっすよ。しかもあてもなく山中に入っていって、

   湧き水を見つけてそこで一晩過ごしたらしいっすよ」


N 「すっげ~」


ビ 「で、知らない人にお金借りて電車で帰ってきたらしいですわ」



世の中にはスゴイヤツがいるものである。



しかし、なんでこう、おいらはこういう、ママチャリで高知に行くやつ とか、
湧き水探して山中に野宿するやつとかと頻繁に一緒に働くことになるんだろうか。。。



ま、これも経験か。

割り切るにはちょっとだけ時間がかかった。







ちょうど8月、真剣に退職の意志を上司に伝えた月だった。
(こいつらが原因ではありません、念のため)







つづく。。。