久々の邦画は予想超え ラストマイル | フェローズ・志村昌洋の蛮物想声

久々の邦画は予想超え ラストマイル

劇場予告の時点で「これ、なんか面白そう・・・」と思い、公開を待ち望んでいた邦画『ラストマイル』

 

 

台風の合間を縫って2週目にしてやっと鑑賞出来ました。

 

 

本作は米国発信世界規模の通販大手(まあ皆さんが思い浮かぶGAFAの一角)がモデルとなった、日本支社の物流倉庫を舞台に繰り広げられるクライム・サスペンス。

 

 

ブラックフライデー前夜、多くの在庫を抱える巨大倉庫の中に爆弾が内蔵されたモノが紛れ込み、配送された商品の中でランダムに爆発を起こすという、EC全盛の世において背筋が凍るような事件が巻き起こる。

 

事の直前にセンター長として赴任してきたエレナ(満島ひかり)と爆弾犯の攻防が物語のカギとなるが、同時に物流を担う末端(ラストマイル)の配送作業員の悲哀や低賃金の是正など社会問題も組み込まれ物語に深みを与えている。

 

 

本作はドラマ『アンナチュラル』と『MIU404』(どちらも未見)に関わった制作人が企画したということだが、監督、脚本、プロデュースと全員が女性ということもあるのか、主演を含め女性のキャラクターが重要なカギを握っているのが印象的であった。

 

また、両ドラマのキャラクターを役者そのままで登場させ脇を固めるという、クロスオーバー的なキャスティングも邦画の世界においては斬新な構成ではないだろうか。

 

 

ただ、個人的に一番インパクトを与えられた点は『デイリー・ファスト』という架空通販大手の物流倉庫の勤務形態だ!

 

 

ブラックフライデー前夜ということがあるかも知れないが、常勤・非常勤併せて数千人のスタッフが仕分けや配送を担い、それを取りまとめる正社員がたったの9人という驚くべき構造となっている。

 

数年前の作品『ノマドランド』の中にAMAZON倉庫での季節労働のシーンが描かれていたが、その時はそれほど驚く印象はなかった。

 

 

しかし本作での”新宿駅の通勤ラッシュ”を彷彿する朝の出勤風景には寒気すら感じました。

 

寒気といえば、この事件・・・ ・ 実際に起こりそうでリアル社会の通販事業者にとって、にわかに戦々恐々となったのでは・・・ ・

 

 

とにかく大手通販会社の深部を垣間見るという点においても実に有意義な作品であった 星 星 星 .9

 

 

 

 

 

 

 

ではパー