黒澤映画に挑む 生きる‐LIVING
かの黒澤映画『生きる』
わたくしと同姓の名優:志村 喬の代表作で、約8年前、当時連載していた雑誌の映画評ページでも取り上げた、黒澤作品の中でもマイ・フェイバリットTop3にランクインするお気に入りである。
(わたくし描き下ろしの挿絵)
今回ご紹介するのは本作の英国版リメイク作品である
『生きる-LIVING』
さて、あまりにも有名な作品なので内容をご存知の方も多くいらっしゃると思うが・・・ ・
役所に勤める中間管理職の男が、ある日突然医師から癌宣告を受け、余命半年と告げられる。
その燃え尽きようとする余命を、子供たちのための公園作りに捧げるため、立ち上がるのだ。
やりがいのなかった日常が一変!
その短い時間のなかに、初めて「私は生きているんだ!」という充実感を噛みしめる。
イギリス版『生きる』の主演は、これまた名優ビル・ナイ。
とても好きな俳優で『ラブ・アクチュアリー』の悲哀を纏ったロック・ミュージシャン役が忘れられない
そんな彼が今回は生きる屍の様な老人を演じるのだから楽しみでしょうがない!
脚本は英国在住の日本人作家カズオ・イシグロ。
彼の作品は映画化もされ『日の名残り』や『わたしを離さないで』は我が家のDVD棚に納まっている。
印象としては物語の筋に大きな変更はなく(まあ、当たり前ではあるが)、要所で人生の指針を与えてくれる脇達も大幅なアレンジが加えられず、ちょっと安心しましたw
時代設定もオリジナルとまったく同じ1950年代初頭で、当時のロンドンを撮影したドキュメント・フィルムからのオープニングは、まさに黒澤作品へのリスペクトを感じるものであった。
職場でプカプカ煙草をふかすショットやファッションなど、懐かしき時代を楽しめる要素も満載で素敵でした。
決して忘れられないラストシーン。
完成した公園のブランコに腰掛け、雪の降るなか幸せそうに『ゴンドラの歌』を唄う志村に対し・・・ ・
果たしてビル・ナイは何を唄ったのか?
それは劇場でお確かめくださいねw
本年度、初のアカデミー主演男優賞にノミネートされたビル。
獲らせてやりたかったー!
わたくし、始終目を潤わせていたものの、やはりオリジナルには届かないかー、の・・・ ・ 辛口
.8
では