ここ10年間ほどずっと読み続けて来たblogがまさかの閉鎖…。毎晩楽しみにしていた習慣や儀式を禁じられてしまったようで大変に悲しい。「ただの娯楽に大袈裟だ」って言われそうではあるものの、正直に言って、前述のとおりに、私にとってはそれ以上の存在だったんだ

 

まるで面識のない相手が書く文章に、そんなにも固執するのが気持ち悪いって自覚はある。せめてblog閉鎖の理由が私たち読者に告げられたようなものでなく、もっと前向きなファクターだったなら、こんなにも落ち込んだりしなかったかもしれない。誰にでも秘密があり、誰にでも苦悩があるんだね…

 

 

昔なら―ほんの半年前なら―、こんな悲劇はお酒を嗜むいい口実になった。いや、むしろ口実をこさえるほど誠実な飲み方をしていなかったと言うべきだ。何せ、一年間一日も欠かさずに、毎日毎晩をそれと共に過ごすんだ。この手に取るワイングラスの形状や風合いは気分次第で変わっても、そこに注がれる液体はいつも同じ臙脂色

 

こう書くと、「もしかしたら、自分って逆に誠実なのでは?」って錯覚しそうだよ。しかも、毎晩どんなに少なくとも1本は空にしていた。オペラファンに向けて分かりやすく言うなら"愛の妙薬"のネモリーノ並みにがぶ飲みしていた

 

自分でも今よく止められていると思う。しかしながら、私は今以て嫌なことをほんの一時忘れる術やあたらつらいことからわずかに目を反らず方法を学んでいない。現在のところの束の間の次善策になっているのはオペラとノンアルコール飲料と夫だけれど、今夜はその超強力打線から夫という強打者が抜けてしまって心許ないから、「今からひとっ走りしてノンアルコール飲料を買い増そうかしら?」、なんてね

 

 

超強力打線を補充すべくノンアルコール飲料を本当に買い増し(本当にコンビニへ行った)、今夜もオペラを、折角ならば何か心が軽くなりそうなオペラを、ということで、前段で書いた『愛の妙薬』からネモリーノがボルドーワインをがぶ飲みする一コマでした

 

あれ? ロベルト・アラーニャって、この役柄もレパートリーなんだっけ? 彼とシボーン・スタッグの二重唱の美しさも然ることながら、その後ろでオーケストラの人たちが何とも言えずに楽しそうに演奏しているのがいいよね

 

実は妊娠が分かったのが今からちょうど半年前で、ほぼ同時に切迫流産になってしまった。まだ安定期に入る前に会社に妊娠を告げて、その時に慰留されたのはうれしかったな。「どれだけ休んでくれてもいいから、ぜひ復帰してほしい」。その一言は、私には願ってもない言葉だった。この会社ではライターとしての業務を一任してもらいながら、同時にWebデザインやプログラミングの知識も研鑽できて、さまざまな経験を積めたから

 

ただ、どうしても繁忙期は激務になってしまうことと、自分が主宰している飲み会が多かったことから、恐らく子育てとの両立は難しいだろう。そう思っていた私の背中を夫は押してくれ、突然のことながら無事に退職させてもらったのだった

 

 

我ながら話が冗長なんだよね…。要は、前職を退職してからの半年間ずっと即入院も視野に入れた自宅療養していたのですが、その間していたことといえば、毎日お出掛けも出来ず、ひたすらオペラを観ていた訳です

 

巷ではよく「オペラは胎教にいい」なんていうみたいだけれど、もしそれが本当だとしたら、この子はどんな天才に育つのか? …なんて、私と夫の子ですもの。ただ生まれて来てくれるだけ、それだけでいいのよ

 

そう、この子が生まれて来てくれるだけでいい。それだのに、私は余所様のblog閉鎖やお酒が飲めないことを苦にするべきじゃなかった

 

この子を実際に腕に抱いたら、私はこの歌に共感するかしら? その日のために、この授かったばかりの幸福を守ることに専念しなくては。それ以外のすべては、今となってはすべて些末なことなのだから