今年もヴィーナー・オーパンバルが予定どおり開催され、多くの旧貴族および一般から選抜されたデビュタント達が華やかなローブ姿で社交界に初お目見えの場を飾りました

 

 

その歴史に名を残す伝説的歌手らが輝かしい舞台を彩ってきたことは周知のとおり。今年のメインロールとしてエリーナ・ガランチャ&ピョートル・ベチャワ。さらに、かねてより国際的な注目を受けるセレナ・サエンツが花を添えるなど、近年の出演陣に負けず劣らぬ布陣となりました

 

また、今年において特に記憶に残った点としては、そのデビュタントとして、かつてになく障碍者の方々やLGBTQ+SOGIの参加者が目立ったこと。この世界一有名と言っても過言ではない舞踏会が続いているのは、近年になって一般家庭出身者も受け入れた経緯をしてこそ。これまで保持した伝統に新たなる革新がもたらされる時には常に賛否はあるものの、その歴史を継承していく上では大事なことなのではないかと個人的には思います

 

今日本でも同種の問題が持ち上がっていて、先日「はだか祭り」に史上はじめて女性が参加するということで、こちらも話題を呼んでいました。「千年続く」「神事」ということで先述した社交界における出来事とは性格が異なるとはいえ、同じく長い歴史を誇りはだか祭りの代名詞的存在でもあった蘇民祭が後継者不足で幕を下ろした事実を鑑みれば、その矜持を守ってくれる担い手の存在は貴重なもの

 

いずれにしてもどの問題にとっても外野である私は、ただ見つめることしか出来ません。それぞれ地元の方々による決断とそれに伴って呈示された結果をしばし覗かせていただくだけ。ただ言えることがひとつだけあるとすれば、その時間が少しでも長く続いて次世代へバトンが渡されていけばいいなという願いだけです