すぐに作れる夏野菜のおかず

いわゆる家事は私にとって趣味のひとつで、何とも言えず悲しい時や気分が塞いだ時にこそ真剣に向き合いたい事柄の最たるものである。それを吐露すると決まって驚かれることがしばしばあって、彼らの言い分から察するだに「そんな生産性のない行為に時間や労力を割くなんて!」ということらしい

 

けだし、巷には「公卿にも襤褸」なる言葉があることからも分かるように、自らの身辺に注意を払うことは有用だ。それを了解しながらもモードから程遠い立ち位置にいるから分かるよ、自分に適性がないことに向き合わされることのつらさを。しかして、ぜひ一考して欲しい。この世において家事ほど短期間で成果の残せるものもまたないことを

 

それを証明する暇もないほど単純な料理がある。もう「料理」と呼べるかすら怪しく、それでいておいしいやつ。お好みの大きさにトマトを切って、やや細かく粗みじん〜みじん切りにした生姜の甘酢漬けまたはラッキョウと和える。ここに大葉を加えても◯

 

「我が家では夏野菜を唐揚げやフリッターにすることが多い」と話したら、大抵は「この暑いのにご愁傷様」のような反応が関の山である。私は食材が油の中で撥ねる音が好きだから積極的に行動しているだけで、もし揚げ物がだるいなら焼けばいいだけ。こちらもお好みの大きさに切った夏野菜をオーブンに入れてタイマーを掛ければ完成。その後はシンプルにオリーブオイルと塩で味付けしてもよいし、または 紅蔥醬と五香粉や花椒で中華風に、最初に油をまぶしてから焼いてめんつゆに漬ければ和風の揚げ浸しになる

 

ほかに「夏の旬物」の代表格としては初鰹がある。そこかしこで手に入るのでよく買う。その日のうちに食べるなら当然に刺し身、すこし食べ時をずらして漬けやフライにするのも一興。特にお気に入りなのは、『酒のほそ道』などの著書で知られるラズウェル細木さんによる「かつおのオイルマスタードづけ」。このカツオを夏野菜に置き換えても最高の酒の肴になる

 

 

 

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