かつては週末といえば劇場へ足を運ぶのがお決まりだったけれど、およそ半年前に切迫流産になってからは自宅でのんびり過ごすことが多い。最近では金曜日の夕方に駅まで夫を迎えに行って、そのまま2人で週末に観る映画や海外ドラマの話をしながら食料を買い込んで、そうして帰宅したらすぐにカウチポテトに興じるのが習慣化していたりする
私のようなおよそ創造性に見離された人間の趣味が「受動的な消費」から「受動的な消費」になっただけの話だけれど、まるで嗜好や感性が異なる相手と今観たばかりの映画の所感を語り合うのは楽しい
そんな他愛もない時間を過ごした結果に迎えたとしてもあらぬ感傷を覚えてしまうのに、とてつもなく懸命に過ごした末の「日曜日の夜」にはどれだけの哀愁を感じるのだろう
皆大好き(だよね?)日曜洋画劇場のエンディング映像でした
毎週末にこの曲を聴くたびに、毎回子どもながらに「なぜ」と思っていた。「なぜこんなに抒情的な曲をあえて日曜日の夜に流すのか?」って。しかも、淀川長春氏の名台詞として知られる「さよなら、さよなら、さよなら」の後で
時を経た今ならば、何となくその理由が分かる気がする。この映像自体は私が生まれる以前に使用されていたもののようで、あたら記憶にないけれど、多くの失われた遺物がそうであるように、これも古き良き時代を雄弁に伝えてくれている
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ところで、こんな記事を見付けました
あまり映画に明るくない私にとってはいささか賛同いたしかねる結果ではあるけれど、「じゃあ、君が選んでみろよ」と言われたら……一体何を取捨するだろう?
折角の感傷に身を預けたいい機会なので、「私の50選」を備忘録として残しておきます
1.~38.; Walt Disney Studios Park Nighttime Entrance
ごくたまに小説を書いたり詩作したり、あるいは読書する時の優秀な相棒。それでなくともただ気持ちよく酔いたい時にも
39.; The Continental from "The Gay Divorcee"
"Top Hat"の挿入歌と相当迷ったけれど、やはり思い入れのあるこちらに。ちなみに、このブログ執筆時のペンネームである「ユカ」という名前はこの映画にあやかって付けたもの
40.; "Puttin' On the Ritz"
日本ではフレッド・アステアによる歌唱版が有名かも。これを一緒に歌い始めたら「酔っています」のサイン!
41.; Love (your spell is everywhere) from "The Trespasser"
旧ブログのURLの由来ともなっている映画。この憐憫に満ちた悲しい物語で主人公の心情に寄り添う、まさに名曲の風情
42.; La Passerella D'addio from "8 ½"
これも"Boccaccio 70"と最後まで逡巡した。先述の動画の中にもニーノ・ロータの作品が頻出している様子を見るだに、これを選び出した人もかなり苦心したんじゃないかな? どうでもいいけれど、マルチェロ・マストロヤンニの正しい起用法は「困った顔をさせること」だと思うのよ
43.; La Complainte de la Butte from "French Cancan"
こうして書き始めてみて思ったけれど、私は幼少期にβを自主的にVHSを観た最後の世代かもしれないな。この作品はDVDになっているのかな。「不幸なものには辛い石の階段」
44.; I Got the Sun in the Morning from "Annie Get Your Gun"
一番好きなミュージカル映画。それだけに曲の選定には時間が掛かった。でも、最後の合唱パートを聴くだけで、とてつもなく幸せな気分になれるから
45.; Mi Musica es Tu Musica from "Salsa"
「これぞラブコメ!」っていう勢いのある作品で、その最後を彩るにふさわしい陽気な曲。この主演の2人は一体今どうしているのであろうか…
46.; If I Never Knew You from "Pocahontas"
実は本編では使用されていない曲ながら、最後のスタッフロールで流れた際に心を掴まれたファンは多かったようで、後日映像特典として公開されたのがこちら
47.; All I Want from "Song of the South"
この曲はあらゆる編曲を含めて大好き。どこでもいいから、どこかの合唱団が演奏会なんかで歌ってくれるのを待っているのだけれど…
48.; I Think of You All The Time from "The Duchess"
今回の映画化自体は失敗だったと思うのだけれど、それでも細部にまで隈なく凝らされた配慮に感動を禁じ得なかったことは確か
49.; 梁祝協奏曲 from "梁祝"
初めて観たのは小学生の時で、それ以来ずっとこの映画の虜。ふと気が付いた時に観返すし、今でも「一番好きな映画は?」と訊かれたら、この映画の題名を挙げる
50.; Elohi from "Le Reine Margot"
彼女は唯一欲した愛を失って、それでも人生は続いて行く。そして、それは歴史という大きなうねりの内のほんの寸刻に過ぎない。その事実を伝えるのに、なんて雄弁な曲だろう
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以上、数ある映画音楽の中の「私の50選」でした
どれも思い入れのあるものばかりだし、それだけを抜き出して語ろうと思えば延々と語れてしまうほど思い出が詰まっている。でも、すべからく映画ってそういうものだよね。しばしば「誰と」「いつ」「どこで」っていう思い出と共に記憶に残るのもほかの音楽にはない映画音楽ならではの特徴かもしれないよ