昨日の記事にほしいものリストを貼付できたのはなかなかよかった、こういうのを共有し合うって最高だ

 

平素あまり他人と話すことのない生活を送り続けて早4年の月日が経とうとしている。来年になれば我が子も幼稚園へ上がって本格的な社会復帰をする訳だけれど、それまではまだこういう一方向による壁打ち的な娯楽が必要不可欠だ

 

その中には無論のこと映画やドラマ鑑賞といった受動的な趣きのものも含まれてる。今現在の私に出来ることっていったら、その感想をつらつらとしたためるくらいかな

 

 

 

*****

 

 

 

"Bolshoi"(邦題は「ボリショイ・バレエ 2人のスワン」)の公開は2019年。まるで出自や人となりが異なる2人の少女がバレエを通じて、時に親友として時の好敵手としてぶつかり合いながら成長していく姿を描いた青春ドラマ(という解釈で合っているとは思う)

 

それを見どころと捉えるか蛇足と考えるのかは観る人に委ねられているとはいえ、個人的な意見でいえばニコラ・ル・リッシュの登板は蛇足だった。とはいえ、もし彼が出演していなければ観ることもなかったし、ここに貼付することもなかったことを思えば、その「蛇足」は果たして必要だったのかもね…。そうであるのなら、いっそそこに翼を生やして火も噴けるようにして蛇をドラゴンにしてくれたらよかったのに

 

現役の頃は本物の王子様のようで、その第一線を退いた今はより美しい生き様を提示する彼の俳優としての一面を観られたこと、それらと一生縁がなく終わる役者さえ少なくない銀幕に残る名台詞を聴けただけでも今年生きている意義はあったというもの

 

 

これまでに何度も映画化されている同名原作の再映像化作品として話題を呼んだ今作。この原作を高校の図書館で読み終えてから現在に至るまで、まるで感想は変わっていない;「刊行時には衝撃作だったとして今日に残すまでの名作か?」

 

いわゆる先進国がこぞって介護に纏わる問題と隣り合わせにある今この題名に冠している「チャタレイ夫人」に共感できる人ってどれくらいいるんだろう。彼女の境遇は心情としては理解に足るにしてもそれが夫を支えない理由にはならないし、その後の不倫に関しては完全にNGでしょ…

 

さして意義を感じない映画化にも関わらずに推したのは、さあれど美しい田園風景とエマ・コリンの魅力に尽きる。彼女は『ザ・クラウン』でも相容れない夫婦生活に苦しめられる一人の等身大の女性を見事に演じたことが記憶に新しい

 

個人的に抱くメラーズのイメージは「獣みたいな大男」って感じだったので、こちらに関しては違和感しかなかった。とはいえ、この条件を満たせる人って今日の映画業界ではまず見当たらない気がする。私も数日考えてしぼり出せたのは「若い時のアーウィン・シュロット」がやっとだったし

 

 

先の妊娠後に切迫流産を言い渡されからというもの、来る日も来る日もオペラばかりを観続けながら日々を過ごしている。そんな時に出逢ったのがこの熟年カップルにまつわるコメディ作品だった

 

その夫同士が弁護士事務所のパートナーであることから家族ぐるみで付き合ってきた優雅なグレイスと親しみやすいフランキーがひょんな成り行きから同居を始めたことでやがて親友になっていく…という掴みもさわりもお楽しみしかないあらすじ。その始発駅から出発して、このクルーたちは私たち視聴者に素晴らしい風景の数々を見せてくれた。その最後は期待を裏切ることなしに、かねて想像し得たどんなそれとも異なる文字どおりの天国さえ拝ませてくれたんだ

 

これから彼女たちともう会えなくなるなんて嘘みたいだよ、とても寂しい。とはいえ、この作品を牽引する主要キャストたちは皆80代だものな…。今は心身を休めて、またどこかで活躍を観られる日が来るならうれしく思う

 

 

今にして思うだに'90年代って『永遠に美しく…』とか『チャイルド・プレイ』とかのホラー系コメディ作品が多かった。その中でも伝説のように燦然と輝く存在といえば、それはやはり『アダムス・ファミリー』をおいてほかにはないだろう

 

個人的にはドンピシャ世代で一時期は劇中の"Please pass the salt -- Now!"が家庭内を席巻したし、今でもウェンディーズのことをウェンズデーと呼んでるほどには愛しているので、この続編を一生待ち侘びていた。実際待ちすぎてちょっと首が伸びたまである

 

そして、その公開日に待ち遠しくも"再会"を果たしたウェンズデーは遥かに予想を上回るばかりか突き抜けるほど完璧だった。そう、すべてが完璧。今も昔も変わることなく、彼女はいつだって目を離しがたい存在なんだ

 

本作公開前には「ウェンズデーに惚れ込んだティム・バートンによる…」のような触れ込みが目立ったけれど、それは必ずしも正確を期していないな。稀代の巨匠が愛しているのは広義にはウェンズデーであるものの、突き詰めればクリスティーナ・リッチその人なんだってことがよく分かるよ

 

 

そして、今年観た中で最も感銘を受けたのは『映像の世紀 バタフライエフェクト』の「ベルリンの壁崩壊 宰相メルケルの誕生」でした

 

これまでに私達にあらゆる歴史的事実を突きつけ、それによって未来に対する知見を授けてきた同番組の最新作。そのどれもが視聴者の心を揺さぶり、例外を数えるものなんてひとつとしてなかった。しかしながら、その薫陶を受けた今シリーズ中のみならずこれまでに放送されたすべてのエピソードを通しても歔欷に耐えなかったのはこれだけである

 

「一体メルケルとはどんな人物だったのか」「なぜ政治の道を志したのか」「どんな想いで首相となり以後その地位にあったのか」がこれほどまでに分かりやすく、かつ直情的に訴え掛ける内容もそうないだろう

 

ほかの現役やそれを退いて間もない政治家と同様に、今後メルケル首相とその政権の検証にはまだ時間が掛かることと思われるけれど、彼女の残した功績と遺産がきっと証明してくれるはずだ。彼女が歴史に名を刻む名宰相であったこと、その恩恵を享受したドイツという国家がよりよい社会になっていることを

 

 

 

*****

 

 

 

以上、「今年観て印象に残っている映画やドラマほか」でした

 

それぞれの芸術を産み出してくれたクリエイター陣には感謝しかない。もし私がアンナ・マリア・ルイーザ・デ・メディチだったら、今日の芸術とその発展の庇護者となりたいし、それについて夢想しない日がないではないけれど、そのたびにそんなの必要ないと思わされることもしばしばだよ

 

まあ、どんなに頑張ってもこの場合の雑草は黄金の百合にはなれないのだから、せめて可能な限りにおいて美点を布教すべきだよね。明日はオペラについてそうすることにする