NYCオペラが『エンリコ・カルーソーと彼の歌』を上演

New York City Opera Brings 'Enrico Caruso - His Songs' Featuring Tenor Mark Milhofer and Pianist Marco Scolastra to Carnegie Hall

ニューヨーク・シティ・オペラは『エンリコ・カルーソーと彼の歌』をカーネギーホールで上演することを発表した。「歌劇王」の二つ名でも知られるカルーソーのために書かれた、あるいは彼自身が作曲した曲で構成された90分間のリサイタルで、出演はマーク・ミルホーファー(テノール)とピアニストのミルコ・スコラストラ。これまでにもブリテンの民謡集などを共に手掛けてきた2人が、彼自身の故郷であるナポリ民謡に国際的な知名度を与えた功績でも知られるカルーソーのために再びタッグを組む。今回の企画はエンリコ・カルーソーの生誕150周年を記念したもので、生誕100周年の際には、彼が生前に所有していた別荘でコンサートを行っていた。現地時間の2月21日午後7時半開演

 

バイエルン国立歌劇場が新制作『スペードの女王』の配信を発表

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バイエルン国立歌劇場は、新制作となる『スペードの女王』をストリーミング配信すると発表した。チャイコフスキーによる全3幕構成であるこのオペラの指揮を執るのは、現在ストラスブール・フィルハーモニー管弦楽団の音楽監督に在任中で気鋭として知られるアジス・ショハキモフ。昨年にはオーパス・クラシック賞の女性歌手部門の栄誉に輝き、既にミラノ・スカラ座において同役で絶賛を受けるなど順調なキャリアを誇るアスミク・グリゴリアンがリーザ役を務める。本作は現地時間2月4日に開幕し、同ストリーミング配信は現地時間2月10日、日本時間2月11日午前3時開始予定。同劇場によるストリーミングサイトであるstaatsoper.tvとmedici.tvで配信を予定している

 

MET初演作『チャンピオン』がグラミー賞受賞の快挙を達成

昨日「世界最高峰の音楽賞」として知られるグラミー賞の第66回授賞式が行われ、メトロポリタン歌劇場の『チャンピオン』が同賞最優秀録音部門の栄冠を手にした。同劇場にとってはじめてアフリカ系アメリカ人作曲家として迎えられたテレンス・ブランチャード作曲によるこのオペラは、実在したボクサーであるエミール・グリフィスの生涯に基づいた内容となっている。そうした特性から舞台上中央にリングが設けられるなど当初から異色作として話題を呼んだものの、同作は在ミズーリ州ウェブスター大学における初演をはじめ今日に至るまで賛否ありながらも好評を博し続けている点も、特筆すべき事実である。既に日本では昨年6月にライブビューイング版が公開されており、その再演が待たれる。なお、この受賞はメトロポリタン歌劇場にとって同部門において連続4年、合計12作品目となる快挙である

 

 

 

ほかに纏め切れなかった彙報として、ピョートル・ベチャワやユシフ・エイヴァゾフの休演(※どちらも既に復帰)など。最近ではディアナ・ダムラウが感染症のためにアメリカやヨーロッパ各地におけるリサイタルをキャンセルしたとの報道があったものの、かねて来週中盤以降予定されていたスケジュールには影響はないもよう

 

先日にはエリーナ・ガランチャが膝の不調とともに第二のキャリアについて考えている旨をインタビュー中に発言するなど、これまでの長きにわたるオペラの歴史上繰り返してきたこととは言えど、個人的にはいまだ目の当たりにした経験を持たない「ひとつの時代の終わり」に対する覚悟をあたかも迫られているようで万感胸に迫るものがある