その町の町長はその筋の方といっても十分に通じるような雰囲気を漂わせていました。体躯頑丈で、顔いかめしく、職員の方々もビビって接していることはよく分かります。
私たちは新しい焼却施設を建設する際の技術コンサルタントとして、数枚の技術資料を持って、規制値に適合するためにはこういう設備を付けなければいけませんよ、ということを説明していました。
「そんな金はない!」
と親分(のような町長)が言いました。
「しかし、その投資をしなければ黒い煙が出る」
と答えると、
「そこを考えるのがあんた達の役目だろう」
「この方式では無理であることは、多くのデーターが証明している」
と答えると、説明用資料を丸めて投げてよこしました。
「こんなものは受け取れない!」
テレビではよく見かける光景ですが、30才代の青年にとっておっかない人でした。
あと10才経験を積んでいれば、倍返しとはいかないまでも、多少は気分が晴れるような対応ができたのでしょうが。
戻ってから、契約を解除したいと連絡することが、せいぜい私たちにできることでした。