10月23日の毎日新聞「憂楽帳」に、「リングプル」と題する記事が掲載されていました。
あるスーパーマーケットが2000年からリングプルを回収する活動を始め、今まで車椅子60台を福祉施設などに送ったという内容で、「小さなリングが大きな輪に育ってほしい」と結んでいます。
プルタブを集めて車椅子を送るという運動は、1983年の「さだまさしのセイ!ヤング」という番組で呼びかけられ始まったそうです。缶ビールにアルミのプルトップ缶が採用されたのは1965年のことでアサヒビールが最初です。その後、多くの飲料缶に普及し、1983年にはすべての飲料缶がこの方式になったようです。たしかに引き抜いたプルトップが散在し、たとえば海水浴場で足を傷つけるという事故が発生し問題化したことがあります。1989年には「鎌倉を美しくする会」が業界にSOT(ステイ・オン・タブ)にするように要望書を出しています。業界の対応も速く1990年3月にはタカラ缶酎ハイとサントリービールがSOTを採用しています。
その時点で、セイ!ヤングで呼びかけられた善意は中止するべきであったと思います。先の「憂楽帳」でも、そのあたりの事情は簡単に触れ、「実際はアルミ缶を丸ごと集めた方が効率は良いのだが、不衛生で洗浄や潰す手間もかかる。タブだけなら、塗料などの不純物が混じらない利点もある」と記述しています。しかし、潰す手間とタブをわざわざ引き剥がす手間あるいは危険を天秤にかけたら、どちらがどうかというのは難しいことです。百歩譲って、不純物の問題はあるでしょうから、スチール缶のプルタブに限るのなら意味もあるのでしょうが、全体量として考えた場合、さほど有効な善意にはならないでしょう。
なによりも、800キロで車椅子1台という価格の問題が気になります。現在、アルミ缶の買い取り価格は1キロ100円というところでしょうから、800キロで8万円になります。車椅子1台が8万円というのは妥当な数値なのでしょうか。
善意の表現の方法を精査するということは、メディアにとっても、専門家にとっても、そして善意の表現者にとっても必要なことだと思います。
「ブータン王国ティンプー市における環境・ごみ問題世論調査」が「都市と廃棄物 11月号に掲載されました。