作家 吉井春樹 366の手紙。 -1522ページ目

[恋文]あなたを上書きするのみ

つらい過去。にがい想い出。

なかなか簡単には忘れられません。

毎日こつこつがんばっていても、

ことあるごとに甦ってきては、

足をひっぱり、どん底に突き落とす。

そして、また、

励まされたり、支えたれたり、

愛されたりを繰り返しながら、

少しずつ、動きだしていくのですね。

刻まれた傷が深ければ深いほど、

もちろん、それは消えることもなく、

ずっとずっと、残り続けるとは思います。

僕にできること、なんだろう。

そう考えたときにやっぱり上書き。

刻まれた上から上から、

同じ場所で、同じ時間に、同じ状況で、

すべて、僕が塗り替えていくのみです。

まだまだこれから、

はじまったばかりです。

[元気]消せない記憶。

消したくない記憶は、
よく未来の今にも残っています。


消したい記憶のつもりが、
残しておきたいと望んでいることも
少なくはないと思っています。

無理に消す必要は、
きっとないのかもしれません。

消そう消そうと思うことが、
忘れるきっかけを奪うのかもしれない。

心が集中していたときに、
ふと薄らぐような気がします。

何か別のものに視点が向かったら、
次に向かう心の準備や勇気が整ったら、
できるんじゃないかと思います。

あなたがもし、消したいのに
消えない記憶があるのならば、
それを消すのではなくて、
新しいどこかへ向かう心構えを
整えることから始めたいですね。

[心]大切にするには。

大切なものを大切にする。

その方法には、

当たり前のように、

いろんな種類があります。

きっと。

僕が考えている大切は、

あなたが考えている大切とは、

少し違っているのかもしれない。

あなたが望むものと、

僕が望んでいるものとは、

それもまた少しだけ、

違っているのかもしれません。

そのもの自体が重なれば、

確かに手っ取り早いのだけれど、

違う価値観の中にある、

それぞれの同じ方向なものを、

見据えてひとつにできればいい。

どこかにひとつだけ、

同じ思いがあるからこそ、

つながれているはずだから。