米軍”Xバンドレーダー”による、ドクターヘリ緊急搬送妨害(京都府京丹後市) | 知は力!痴は活力?

知は力!痴は活力?

細々書きたれて参ります
不定期更新何とぞご笑納を


 こんばんは。
 先日、沖縄県の翁長知事が、辺野古基地建設問題で、建設工事に伴う埋め立ての承認取消し方針を、ついに表明されましたね。
 県をあげての反対の声に耳を貸さないどころか、補助金交付等で露骨な地域分断策をたくらみ、首長選挙ではなりふり構わない争点隠しを行ってでも、県あげての基地反対の世論を押し潰して無視し続ける政府・アベ政権に対し、とうとう切り札となる承認取り消しの方針を出したわけです。
 これで事態が転回するのか、まだ不明ですが、まだまだ辺野古基地問題を含めた、米軍基地への関心は、沖縄とそれ以外の全国で相当な温度差があるのが実情でしょう。
 米軍基地の問題に対し、沖縄県民を始めとして、良識ある諸兄姉の方々は、『沖縄で起こっていることは、全国で起こりうること』と、機会あるごとに力説されています。仁和寺自身も、そういった方のブログ等での意見発信に多少なりとも触れてきたので、意識はあったつもりですが、やはり近い所で実際に起こると、本当に衝撃を受けました。
 気づくのが遅れて、少し古い話題になって恐縮ですが、6月3日付けの朝日新聞デジタル版からの転載です。

 京都府京丹後市で5月15日、ドクターヘリで負傷した男性を搬送する際、計器類に支障がでないよう、米軍に通信所のレーダーの停波を求めたのに実行されず、負傷者の病院への搬送が予定より17分遅れていた。防衛省近畿中部防衛局や府が発表した。西脇隆俊知事は(6月)1日、「断じて許されない」と訴え、防衛大臣あてに抗議の申入書を出した。男性は命に別条はないという。

 防衛局や府によると、5月15日午前8時過ぎ、伊根町内での交通事故で70代男性が負傷。宮津与謝消防組合消防本部(宮津市)が、兵庫県豊岡市の豊岡病院にドクターヘリを要請し、京丹後市の経ケ岬灯台の駐車場に着陸して負傷者を乗せる予定だった。米軍経ケ岬通信所(京丹後市)の飛行制限区域を飛ぶことになるため、電話で停波を求めた。
 しかし、消防は米軍から「停波できなかった」との連絡を受け、航空自衛隊の経ケ岬分屯基地(同市)に着陸地を変えた。防衛局によると、米軍は「当直員が不慣れで要請を理解するのに時間がかかった」と説明している。

 航空法に基づく飛行制限区域は2014年、経ケ岬通信所に弾道ミサイルを探知する強力な「Xバンドレーダー」が配備されたのを受け、半径6キロ、高度約6千メートルの半円柱の範囲で設定された。


 府や消防は、ドクターヘリや消防ヘリが飛行できるよう、緊急時に停波することで米軍側と合意していた。西脇知事は「緊急ヘリは人命にも関わる重要な運航手段であり、断じて許されるものではなく厳重に抗議する」と国に伝えた。
 防衛局によると、15年1、3月にも、同じ通信所で要請後に停波されなかったことがあった。
(記事転載ここまで)

▼先月の『京都民報』も大きく特集記事にしていました。

 米軍の経ヶ岬レーダー通信所は、京都府の北端にある丹後半島にあります。『Xバンドレーダー』は強力なマイクロ波を利用している関係で、周辺を航空機が飛行すると、電磁波が計器類に影響を及ぼし、航行に影響するということのようです。
 今月になって、京都府知事が防衛省を通じて、再発防止と、今後は停波を確実に行うよう申入れたとのことですが、果たして実効はあるのか、近年の沖縄県内での、オスプレイの墜落や、小学校に軍用機の機器が落下した事件への政府の対応を見ていると、果たして県民の生命が脅かされる事態をどう捉えているのか、全く心許ないと言わざるを得ません。
 近畿地方でも、今回米軍基地があることによって、救命救急ヘリの運行が妨害されるという、市民の生命が危険に晒される出来事が現実に起こってしまいました。そしてやはり、日本を守るための在日米軍では決してないわけで、何か起これば簡単に国民の生命が軽視され、生活の安全が保証されないことが、今回も明らかになった事案だったと思います。
(終わり)