安倍清明とはよく知られた陰陽師である。
彼の力の凄さを伝える有名な逸話は、いくつか残されている。
仁和寺にて、公卿たちから「術で人は殺せるのか?」と聞かれた清明は、
殺せますが生き返らせることが出来るかどうかはわかりませんので、
そのようなことには術を使いたくありませぬと答えた。
公家たちからは出来ないからそのようなことを言うのだと笑われ、では
そこの庭石にいる蟇蛙で試してみろ、ということになった。
仕方なく庭に下りた清明が蟇の上へ、草の葉にふっと息を吹きこみ置いた
ところ、たちまちのうちにその蟇は潰れてしまった。
その恐ろしい様に色を失い、公家たちは黙り込んでしまうばかりであった、
とある。(宇治拾遺物語)
彼の術の中でももっとも有名なのは「式神」といわれる使い魔で
ある。
式神とはヒトの心であるとか、この世のモノではないオニであるなどとも
言われており、清明はその式神たちを自在に操り、あらゆる難事を解決
していたとされている。
だが清明の妻は式神たちが家にいることが恐ろしくて我慢できない。
やむを得ず夫はかわいい式神たちを一条戻り橋のたもとに隠しておいて、
用があるときだけ呼び出すようにしていたそうだ。
清明亡き後、式神たちは一条戻り橋に置き去りにされていたのだろうか。
その清明の式神を手に入れて、今でも操っているという人の話を聞いた。
どのようなモノなのか、またどうやって手に入れたのか、話を聞かせてく
れた方も詳しくは教えてもらえなかったようだ。
そもそも、そういったモノは人に語ってはいけないのかもしれない。
では、その人は清明の式神を何のために使っているのか。
曰く、
「毎朝、ポストまで朝刊を取りに行かせている・・・」