岩井俊二 監督 による
名篇「 花とアリス 」を
監督初の長編アニメーション作品として
その前日譚を描いた10年ぶりの第2作
花とアリス
殺人事件
を観て来ました。
見てみたかった
岩井俊二監督の面白味が
珠玉にいっぱい詰まっています。
ある 殺人事件 ? を通して
有栖川徹子( 蒼井優 )と 荒井花(鈴木杏 )の出会いを描いて行きます。
[DVD]
鈴木杏
蒼井優
オリジナルの公開当時は、まだ 鈴木杏 さんの方がクレジットが先であり
蒼井優 さんは、あのバレエの名シーンで存在感を示し
前作を足掛かりに人気女優として知名度を上げて行きました。
事実上、蒼井優 さんが追い越してしまった事になるので
このお二人には、なんらかのワダカマリがあるのでは?と
こちらが勝手に想像していたのですが…
今回こうしてヴォイスキャストながら普通に再共演が実現して
鈴木杏 さんが二番手クレジットに変わっても
味のある声で演じていて何かしみじみホッとしました。
本作は、 ロトスコープ と云う
実写を敷き写すアニメーションの手法で作られているそうです。
各キャラクターも
ヴォイスキャストの実際の素顔に似せてあります。
二人の女子高生が出会い友情を育む青春ストーリーの中に
変人的脇キャラを愉快に配置して
殺人事件なんて思わせぶりなタイトルを掲げて
金田一耕助 シリーズ以降の
市川崑監督作品 を彷彿とさせるトボケタ台詞回しを多く引用したり
黒澤明監督 の「 生きる 」へのオマージュを捧げるブランコのシーンなど
映画ファンをニヤリとさせる 岩井俊二監督 の遊び心を楽しく散りばめ
最後にだめ押しで前作の冒頭に繋げる巧みな構成にも思わず唸ってしまいました。
登場人物たちがチョッと変わっていて
可笑しく豊かで魅力的な所に惹きつけられながら
ずっと観ていたい衝動に駆られる暖かな名篇になりました。