何を置いても …
舞妓はレディ
を観て来ました。
映画は娯楽である
その意味を見事に紐解く傑作です。
最近は、濃密な社会派作品が続いた周防正行監督が
久しぶりに 「 Shall we ダンス? 」以前の喜劇路線に回帰かと思いきや
まさかのミュージカル ♪♪
なのにそこに秘めたメッセージの多重さに驚くばかりでした。
方言丸出しの田舎娘の春子( 上白石萌音 )が
立派な舞妓さんになるまでのサクセス・ストーリーと云う明快な筋立てです。
しかしそのシンプルな構成の中に綿密に取材された
舞妓さんの世界の本質とその斜陽化の問題を目立たせないように潜ませて
そうかと思えば遊び心満載の仕掛けを随所に散りばめ
楽しいエンターテイメントとして成立させている職人技にシビレます。
そして若手を支えるベテラン俳優陣の凄さが胸に沁みる巧みな構成。
周防監督の作品全ての底に流れる人情噺が奏でる心地の良い余韻にジンワリ浸りました。
日本映画の良心が受け継がれた優しく愛おしい作品。
そっと包んで大切に仕舞っておきたい名作です。