オランダに帰ってしまった
ポール・ヴァーホーヴェン 監督 による
「 ブラックブック 」 以来6年ぶりとなる新作で
【未体験ゾーンの映画たち 2014】 での特集上映枠で公開された
ポール・ヴァーホーヴェン/トリック
TRICKED
を観て来ました。
ハリウッドに進出して
「 ロボコップ 」
「 トータル・リコール 」
「 氷の微笑 」
「 インビジブル 」
「 スターシップ・トゥルーパーズ 」
などのヒット作を生み出しながらも
ハリウッドは自由に映画を撮らせてくれないと
本国オランダに帰ってしまったヴァーホーヴェン監督による
6年振りの新作となるドキュメンタリーと劇映画を融合させた実験的作品です。
映画の冒頭4分だけを公開し、その後の脚本を一般公募して制作したという異色作で
前半は、その制作過程のドキュメントになっていて
後半の約50分は、その劇映画の本編を観せるという珍しい構成になっています。
女性に手が早いある会社社長の
家族と愛人たちとの紆余曲折な人間模様をブラックな装いで描いて行きます。
そのメロドラマみたいな設定においても
ヴァーホーヴェン監督の手に掛かれば
最大の持ち味であるその“変態性”を随所に散りばめながら
卓越した語り口でその滑稽な人間ドラマを積み上げて行きます。
そして皮肉たっぷりなラストショットでストンと落とされます。
小品ながらヴァーホーヴェン節が健在だったので、ちょっとホッとした逸品になりました。