夢売るふたり | 今日も映画馬鹿。

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映画あれこれ。ときどき音楽。たまに戯言。おまけに麺。






日本映画で

もはや外せない監督のひとりとなった






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西川美和監督



松たか子主演





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満を持して放つ新作



夢売るふたり



 を観て来ました。





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キャスト:

松たか子

阿部サダヲ

田中麗奈
鈴木砂羽
木村多江

安藤玉恵
江原由夏
やべきょうすけ
大堀こういち
倉科カナ
古舘寛治
小林勝也

伊勢谷友介

香川照之

笑福亭鶴瓶






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小さいながらも生き甲斐だった小料理屋を火事で失った

貫也阿部サダヲ)と妻の里子松たか子)は、

貫也の成り行き的な浮気をきっかけに

いつしか夫婦で結婚詐欺を行うようになります。





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里子が結婚願望の強いOLなどを見つけ出し

貫也が寂しい女性たちを次々と騙して

小料理屋を再開するための資金を稼ぎ出して行きます。





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しかし夫婦を繋ぐ運命の歯車はいつしか狂い出して...





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前作の「ディア・ドクター」で

ニセ医者を題材に過疎地の医療問題を提起しながら

ペーソス溢れる人間ドラマを見せた西川監督ですが

今回も自らの原案・脚本により、

2作前の「ゆれる」に通じるダークな部分を浮き上がらせて

ジワジワと迫って来る人間の奥底に潜む業と欲は、

ヘタなホラー作品よりもよっぽど恐ろしいです。





とにかく女優陣が素晴らしいです。



貫禄の鈴木砂羽さん

一皮、いや二皮むけた田中麗奈さん

哀愁ハンパない。しかもカッコイイ安藤玉恵さん

いつもながら薄幸加減がドンピシャな木村多江さん



彼女たちの演技だけでも観る価値十分です。





そこへ

松たか子さんの隙のない演技が被るのですからタマリマセン



告白」でひとつの頂点を迎えたと思いますが、今回更にその頂きを確実に越えて来ました。

目の動き、仕草、言葉、そして表情…いや形相!!

そこから発せられる演技というものの真実を見せつけられているかの様で唸ります。



所詮は梨園の娘とか

親の七光りなんて云われ続けて来て

それは本人にも当然聞こえており長年悩みの種だったそうです。

しかし、ある日

親の七光りがあるからこそ七つも光れるのだ

それなら尚、八つも九つもより光ればいいのだと悟ったと

あるインタビューで答えているのを聞き激しく感心しました。

今や名実共に日本を代表する女優であることは間違い有りません。



クライマックス直前に松たか子さん扮する里子

ある人物から電話がかかって来て

その会話の間に彼女の心の中にあった思いが溢れ出す時の表現力には舌を巻きました。





女優陣ばかり褒めて来ましたが

情けなくも優しさを秘める貫也を体現する

阿部サダヲさん。

今までスクリーンで見て来た中で一番いいです。

ついでの様で何ですが...





観終わったあとに残るものは

結構、苦く重たい感情ですが

西川美和監督の手腕は

どこか今村昌平監督の作風にも通じるものがあり

人間の欲と業と性を躊躇なく炙り出し

見応えのある作品に仕上がりました。

必見です