7月から開始される11期(全12回)の「先行予約受付」は、今度の例会(6月20日開催)で終了します。7月以降にお申し込みの場合は、年会費(12回鑑賞)を、6000円とさせていただきます。
当日会場までお出かけが難しい方は、メールにて下記まで、ご相談ください。こちらから、ご連絡いたします。
E-mail: operakai08@gmail.com
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【次回のお楽しみ】 次回は 6月20日 1時05分開場、1時25分 開演
演目は、リヒャルト・シュトラウス作曲 『ナクソス島のアリアドネ』
ホフマンスタールとシュトラウスは、『サロメ』で大成功したシュトラウスが次に世に出したオペラ『エレクトラ』以来、ホフマンスタールの死まで続いた名コンビだった。彼らの第2作が『ばらの騎士』。そして、それに続く第3作が、この『ナクソス島のアリアドネ』である。
〈作家と作曲家〉として、生涯を通じての名コンビだったフーゴ―・フォン・ホフマンスタールとリヒャルト・シュトラウスによるこのオペラは、「演劇」と「オペラ」が巧みに結びついた不思議な構成の作品だが、それは、舞台ウラとオモテの舞台とを同時に見るような感覚であり、「劇」が出来上がる過程を見るような感覚でもあり、悲劇と喜劇を一度に見るような感覚ともいえるような、不思議な世界である。しかも、オペラの最初の幕は「序幕」として、ひとまとまりのもの。その幕が下りてから、次に、別の一幕物のオペラが始まる。という仕立て。そして、その一幕物が、悲劇と喜劇とが交錯する二重構造とでもいう、念の入ったものなのだ。
正に「ひと粒で二つの味わい」どころか、「アラカルト」のカラフルさである。それでいて、頭が混乱しないのが、このオペラの見事なところである。
舞台は、18世紀ウィーンの、ある富豪の屋敷の一角。そこに設けられた小劇場では、新作オペラ『ナクソス島のアリアドネ』の準備で、出演者やスタッフが忙しく動いている。オペラの終了後に二本立て興行のもう一方として行われる「道化芝居」の準備も並行して進められている。
ところが、突如、オペラ上演の舞台監督のもとに、スポンサーの富豪から、とんでもない連絡が入ったので、一同は大あわて。「オペラと道化芝居とを、同時に上演せよ」というのである。大急ぎで台本の手直し、演出の変更、というわけで、出演者たちの、自分の出番の確保やら、相手役を貶める算段やらで、わがまま放題の騒ぎが始まる。傑作が出来たと喜んで舞台稽古に臨んでいた若い作曲家は絶望。それでも、無情にもオペラは開演してしまう――というのが、このオペラの「序幕」のあらましである。
こうして「序幕」の幕が下りての後半「オペラ本篇」では、恋人に捨てられたアリアドネを主人公にしたギリシャ悲劇が始まるが、ここでは「道化芝居」の側から、気まぐれな愛に生きる女ツェルビネッタが入り混じって、ストーリーをかき回すのだ。まるで『オルフェとユリディス』の悲劇をもじったオッフェンバックの『天国と地獄』? それとも?
この、コメディとシリアスなオペラとをごちゃまぜにするところに、ホフマンスタールとシュトラウスの、『ばらの騎士』以来の〈世相〉へのアイロニーが込められているのかも知れない。
(執筆:竹内貴久雄)
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