ユングの元型は前回も述べたように数理で読み解ける。
また、このことはMBTIにも言える。
なぜか知らないがユングの元型から派生した心理分析、人を類型化させる心理技法は私から見るとてんでデタラメだ。
一体どういう理屈で3区分なり4区分を切り分けているのだろう?
前回ユングの元型を星座に振り分けたものがこちら。
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「火」戦士・・・勇気、前進、勝利。
牡羊座。
「火」魔術師・・・魔法。
天秤座。
*老賢人。
「土・地」孤児(普通の人)・・・安心安全。
牡牛座。
「土・地」求愛者・・・官能、魅了、恋愛。
蠍座。
*アニムス・アニマ。
「木・風」道化・・・トリックスター、おふざけ。
双子座。
「木・風」探求者・・・冒険、挑戦、探求。
射手座。
*トリックスター。
「水」援助者・・・寄り添い、支援。
蟹座。
「水」統治者・・・信頼、リーダー。
山羊座。
*グレートマザー。
「金」創造者・・・創造性。
獅子座。
「金」破壊者・・・破壊、革命。
水瓶座。
*ペルソナ。
「冥」賢者・・・叡知、アドバイス。
乙女座。
「冥」幼子・・・純粋無垢。
魚座。
*シャドウ。
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ユングの12元型は海外のサイトだとより詳しく3区分×4区分の12類型になっている。
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ユングの12の原型
1,ルーラー・・・セルフ。秩序。山羊座。
2,クリエイター・・・ソウル。秩序。獅子座。
3,セージ・・・セルフ。自由。乙女座。
4,無垢・・・エゴ。自由。魚座。
5,冒険者・・・ソウル。自由。射手座。
6,反逆者・・・ソウル。エゴ。水瓶座。
7,ヒーロー・・・エゴ。エゴ。牡羊座。
8,ウィザード・・・セルフ。エゴ。天秤座。
9,道化師・・・セルフ。ソーシャル。双子座。
10,エブリマン・・・エゴ。ソーシャル。牡牛座。
11,愛人・・・ソウル。ソーシャル。蠍座。
12,介護者・・・エゴ。秩序。蟹座。
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これを3区分でまとめるとこうなる。
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1,ルーラー(統治者)・・・セルフ。秩序。山羊座。
3,セージ(賢者)・・・セルフ。自由。乙女座。
8,ウィザード・・・セルフ。エゴ。天秤座。
9,道化師・・・セルフ。ソーシャル。双子座。
2,クリエイター・・・ソウル。秩序。獅子座。
5,冒険者・・・ソウル。自由。射手座。
6,反逆者・・・ソウル。エゴ。水瓶座。
11,愛人・・・ソウル。ソーシャル。蠍座。
4,無垢・・・エゴ。自由。魚座。
7,ヒーロー・・・エゴ。エゴ。牡羊座。
10,エブリマン(庶民)・・・エゴ。ソーシャル。牡牛座。
12,介護者・・・エゴ。秩序。蟹座。
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12星座の並びを見ると何の対応にもなっていない。
ユング心理学における12元型の3区分はセルフ、ソウル、エゴの3つだが、セルフは個人的無意識、エゴは顕在意識。
ソウルがいまいち分からないが集合的無意識だろうか?
占星術の3区分は活動宮、不動宮、柔軟宮だが、ユング心理学の3区分に対応させると活動宮=エゴ、不動宮=ソウル、柔軟宮=セルフだろうか?
セルフは無意識だが、個人のそれなので集団の無意識よりは小回りが効き、柔軟宮的だ。
ソウルが集合的無意識なら個人のそれより集団全体の利害を考え、軽はずみでは動かず、また一度動き出したら一気に事態が進展するパワーがある。
エゴ<セルフ<ソウルの順番で個人から集合体へと意識の深度と広さが拡大していく。
3区分をそう定義し直すと、改めて既存の12元型の分類がデタラメに見える。
4区分ではこう。
>エゴ – 世界に足跡を残す
>秩序 - 世界に構造を提供する
>ソーシャル – 他の人とつながる
>自由 – 楽園への憧れ
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1,ルーラー・・・セルフ。秩序。山羊座。
2,クリエイター・・・ソウル。秩序。獅子座。
12,介護者・・・エゴ。秩序。蟹座。
3,セージ(賢者)・・・セルフ。自由。乙女座。
4,無垢・・・エゴ。自由。魚座。
5,冒険者・・・ソウル。自由。射手座。
6,反逆者・・・ソウル。エゴ。水瓶座。
7,ヒーロー・・・エゴ。エゴ。牡羊座。
8,ウィザード・・・セルフ。エゴ。天秤座。
9,道化師・・・セルフ。ソーシャル。双子座。
10,エブリマン・・・エゴ。ソーシャル。牡牛座。
11,愛人・・・ソウル。ソーシャル。蠍座。
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これも占星術の4区分と対応させる場合、エゴ=火、秩序=地、ソーシャル=水、自由=風だろうか?
しかしこれもデタラメな配置のようで、エゴは火と風の男性星座だからエゴイストに感じられるだけ。
自由は柔軟宮だから。
秩序とソーシャルに至ってはそもそも当該の元型は秩序ともソーシャルとも言いかねる有り様。
(クリエイターが秩序?介護者が秩序?どこが?)
本当にデタラメな並びに感じる。
この12元型を12星座に合わせて並び替えると、
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・エゴ。<火、意志>
7,ヒーロー(戦士)・・・牡羊座。エゴ。
5,冒険者・・・射手座。セルフ。
2,クリエイター(芸術家)・・・獅子座。ソウル。
・秩序。<地、体感>
1,ルーラー(統治者)・・・山羊座。エゴ。
3,セージ(賢者)・・・乙女座。セルフ。
10,エブリマン(庶民)・・・牡牛座。ソウル。
・自由。<風、思考>
8,ウィザード(魔術師)・・・天秤座。エゴ。
9,道化師・・・双子座。セルフ。
6,反逆者・・・水瓶座。ソウル。
・ソーシャル(社会性)。<水、感情>
12,介護者・・・蟹座。エゴ。
4,無垢・・・魚座。セルフ。
11,愛人(愛され人)・・・蠍座。ソウル。
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どうだろうか?
どう考えたってこちらの方が整合性が取れているのではないか?
3区分が顕在意識のエゴなのは、戦士、統治者、魔術師、介護者。
個人的無意識のセルフなのは冒険者、賢者、道化師、無垢。
セルフよりエゴの面々の方が実効性が高く、現実的だ。
集合的無意識のソウルの面々は芸術家、庶民、反逆者、愛され人。
エゴやセルフの面々より更に無意識の深度が深まり、かつ背後に背負う集団の大きさがある。
特に反逆者は単体では成り得ず、必ず大衆の支持を集め、扇動できるからこそ革命となる。
それはまさに集合的無意識の為せる業で、それがなければ一介のテロリストで終わる。
テロリストは見方を変えれば牡羊座の戦士にすぎない(英雄と大罪人は紙一重)。
無垢と愛され人は逆でも良いかと思われたが、無垢は単体で成り立つが、愛されは他者の存在が不可欠であり、集団性を必要とするため、やはりソウルの集合的無意識の管轄なのだろう。
庶民が集合的無意識の代弁者なのは言わずもがな。
賢者は顕在意識の統治者より無意識の深度が深いが、所詮は個人のそれにすぎず、集団性はない。
時に一人の賢者(インテリ)より名も無き一般大衆の総意の方が正鵠を射ているのはこのためである。
と、このようにユングの12元型は12星座を新たな視点で読み直すきっかけとしては面白いが、人間心理の類型としてはてんでデタラメではあるまいかと私は思う。
特に3区分、4区分が酷すぎて使い物にならない。
私から見ればMBTIは占星術の4区分×知情×攻防。
基本の7元型は七曜、12元型は12星座の焼き直しにすぎない。
(ハーマンモデルは男女×物心の四元素)
それをビジネスの分野でことさらありがたがるのは本家本元である占星術を公的な場で扱うことへの後ろめたさや気恥ずかしさがあるからだろうか?
パッケージが心理学ならオカルトとは思えず、気が咎めないと?
心理学に限らず占術全般もそうだが、実体を扱わない科学分野は何でこんな馬鹿げた事態になってるのか不思議だ。

