続いて九星流姓名判断で見て行きます。
まずは本名の平岡公威で見てみます。
0歳から8歳までの運勢、未成年までの性質は風地観で、鋭い洞察力と精神性の高い芸術性を持った卦です。
三島さんは文学少年だったという事で、合致します。
9歳から17歳までの運勢と、社会運は山地剥で、高過ぎる自尊心のせいで地位を剥奪され、地に堕ちます。
栄光と挫折を意味し、特に悲劇的な破局を暗示します。
この時期の剥奪はせいぜい父親から執筆活動を反対されていたくらいで強くは出ていませんが、それはまだ失墜するほど高い地位に上り詰めていないからでしょう。
18歳から26歳までの運勢と、人生の中核を成す人格は雷地豫で、享楽的な楽しみに耽る卦です。
実際、三島さんは多趣味で世間的な常識からは逸脱した禁断の情事に耽る人でした。
27歳から35歳までの運勢と、人生後半の内面性は火水未済で、愚かしいほどの前向きさで少々の失敗にもめげず、立ち直れる卦です。
楯の会での不穏な動きの際も、この火水未済がいらぬポジティブさを生んでしまったかも知れませんね。
36歳から44歳までの運勢と、人生全体をバックアップする総画は山雷頤で、口に関わる事象が発達し、度が過ぎれば災いを引き込む卦です。
食やおしゃべりの扱いに注意し、性欲の高まりも危惧すべき時期です。
食べたい物を食べ、言いたいことを言い、やりたい時にやると言った動物的な欲求の高まりとその成就にばかり気を取られると、手痛いしっぺ返しを食らいます。
45歳から自決によりお亡くなりになるまでの運勢と、人生前半の内面性は山地剥で、社会運と同じです。
人生の前半において高いプライドほどには満たされた地位に就けず、その不満が三島さんを創作活動に駆り立てたように思えます。
また、このサイクルでは十代の頃と違って剥奪するに足る高い地位に就いていましたので、社会運と相俟って容赦なく三島さんの地位を、その命までも無慈悲に奪い去って行きました。
対人関係を表す外格は五黄×地の比和で、五黄の強烈な腐敗と浄化の影響力が倍増し、周囲を振り回したことでしょう。
家庭運は震為雷で、家庭環境はけたたましく雷鳴が唸るような壮絶な状況です。
晩年運を現す天格は風地観ですが、これはご家族の運勢をも表すので、かなり知的な雰囲気のある家柄だったようです。
続いてペンネームで見てみます。
16歳から使用されていますので、そこからです。
9歳から17歳までの運勢と、社会運は火雷噬嗑で、強い闘争心から外敵と遭遇しがちです。
最初こそ苦戦しますが、後になるほど盛り返し、最後には完膚なきまでに叩き潰します。
18歳から26歳までの運勢と、作家人生の中核となる人格は天地否です。
独裁者のような厳格さが人間関係を散り散りに引き裂きますが、教祖のようなカリスマ性が有り、政治や宗教への適性があります。
これが三島さんの作家としての中心的人格であり、その後の政治活動への転身も理に適っています。
本名のままでしたら楽しいばかりの人だったかも知れませんが、ペンネームにより裏切りを許さない清廉潔白な軍人になってしまったようです。
27歳から35歳までの運勢と、人生後半の内面性は山水蒙で、朦朧として先行きが見通せない状態です。
無知無学で教育が必要な時期であり、人生後半の楯の会で奔走していた頃には、内面的に前後不覚に陥り、正しい判断が出来なかったのかも知れません。
36歳から44歳までの運勢と、作家人生全般をバックアップする総画は巽為風で、風の向くまま自由気ままに態度を変える時期です。
45歳から自決によりお亡くなりになるまでの運勢と、作家人生前半の内面性は五黄×雷の五黄卦で、土侮木です。
強い身体性、マッチョ主義が激しい独立心を軽んじ、蔑ろにします。
その結果、反動で自分自身がやられます。
自衛隊に対する扇動と、その果ての自決は正に五黄卦の腐敗と決裂の作用が強く働いた結果だと思います。
対人関係の外格は沢地萃で、人を集め、結束させる強い求心力を意味します。
家庭運は水風井で、身内に対するインフラ整備を意味します。
これは昨年までの安倍首相の大運でもあり、憲法改正など軍事的なインフラ整備の意味合いがあります。
楯の会など仲間内での強い憂国感情もその現われの一つでしょう。
総合的に見ますと三島さんの自決の原因は、月命卦での流年の天地否から天水訟への不穏な流れ、精神への過度の圧迫と、本名での社会運と決行時の大運の山地剥による強い剥奪作用、ペンネームでの人格の天地否と大運の土侮木の五黄卦による自己破壊作用と言った、悪影響の重ね掛けにあったと思われます。
易経におきましては水雷屯、坎為水、水山蹇、沢水困の四大難卦が悪名高いですが、山地剥と天地否の社会生活に対する破滅作用は常軌を逸した恐ろしいものがあります。
そこに負の五黄卦が絡みますと、凶意の深刻さがが跳ね上がりますから、自決は止めようがなかったと思います。