今、空港です。
 これからお墓に帰ります。

 …誕生日会、楽しかったですよ。

 では、また。


こんな携帯メールが届いた。

濡れた喪服をハンガーに吊るし、

着替え終えたところに着信音が鳴った。


昨日の葬儀は、しとしとと降る雨の中、

近くに住む4歳年上の知人との別れだった。


喪主を務める息子さんは、わが家の子供たちと同年代。

いつの間にか立派な青年になって、

見知らぬ綺麗なお嫁さんを連れ、

あどけない子どもの騒ぐ声が、一層悲しみを増した。

知人も、定めとはいえ、後ろ髪をひかれる思いだっただろう。


メールは、女友達からだった。

高校の同級生で、今は大阪に住んでいる。


優秀な旦那さんとの間に、大手都銀に勤める長男と、

医者になった次男がいて、それぞれ家庭を築いて、

孫にも囲まれて幸せに暮らしている。


それにしたって、「これからお墓に帰る」だなんて…

葬式帰りで複雑な心境の時に、悪い冗談である。


ところで、時おり高校時代の同級生たちで集まって飲む。

数日前にも、みんな集まった。

4月生まれの彼女の帰省に合わせ、

誕生日を祝おうと、誘われていたのだが…


他の飲み友達の退職慰労の宴と重なって、

残念ながら参加できなかった。


きっと、その誕生会の楽しい様子を知らせてくれたメールなのだろうが…

彼女のそそっかしさは、友だちの間でも有名である。

よく、かな換を彼女特有の間違いをするのだ。


返信した。


 お墓に帰るって…

 極楽浄土から来てたわけじゃあるまいし…
 大阪に帰るのですか?


しばらくして返信が届いた。


 なんで、お墓なんて?!

 今、伊丹に到着しましたが、

 死ぬかと思うくらい揺れました (;一_一)


突き詰めて尋ねた。


 「お墓」は、何と間違ったの?


一言だけ、返信があった。


 ひみつ (^_^;)



飛行機が揺れて死ぬ思い程度なら、まだいい。

それにしても、愛するキャラクターを持った女友達である。

そそっかしいくらいが楽しい。

彼女がいるだけで、場が明るく楽しくなる。


賑やかに笑いながら、お酒が飲めるのは、

本当に幸せなことなのだ。


今回、同級生たちと飲めなかったのを残念に思いながら、

お墓に行くのはもうしばらく後でいい。


そう思った日であった。