3歳の孫が、東京から帰っている。
今年3月生まれたばかりの弟を連れてだ。
田舎の爺さまは、ワクワクして待っていた。
漁港の岸壁から、ゼンゴ釣りをしようか。
それとも、朝から鳴いているクマゼミを採りに行こうか。
早朝のかぶと虫捕りは、
3歳児には早起きのクヌギ林はちと厳しいかな。
最近めっきり見なくなった女郎蜘蛛が、
2、3日前から、玄関横の軒先に見事な巣を張っている。
このエバ(巣)をつかったセミ取り網を作って、
孫でも喜ばしてやれと言わんばかりに…
まずは、大きな花火セットを二袋購入して、
夕刻の便で帰ってくる孫たち家族を迎えに行く。
東京の地下鉄とマンション生活の証だろう。
恥ずかしそうに手を振りながら到着口に現われた孫は、
透き通るような色白の肌である。
風呂で汗を流し、夕食が終わると、
孫家族と爺婆総出のファミリー花火大会。
夏休み真っ盛りの風景の一こまである。
今朝は、カニ獲りに挑戦。
火バサミとバケツを用意して、庭のカニを獲ってやろうとする。
「おじいちゃん、ここのカニさん、
ハサミを振り回して怖い。
もう、ヤメテェ~!」
うーん。確かに見た目は、グロテスクだからな…
あまり恐怖心だけを植えつけるのもどうか。
母親の生まれ故郷の札幌では、
札幌の爺さまにカニは大きく高級なもの、
美味いものと教えられている…わけではあるまいが。
よし、じゃあセミを獲りに行こう。
孫と二人で近くのに山に、雌竹を切りに行く。
家に帰ると、
竹ひごで作ったラケット型の輪っぱを、
竹の棒の先につける。
そして、女郎蜘蛛のエバを無駄のないように巻く。
そばで見ていた父親の息子が宣う。
「気持ちの悪い派手な色をしているけど、
この蜘蛛は毒蜘蛛じゃないの?」
そう言えば、こいつが幼稚園の頃は、
家業に振り回されてて、
こうやって一緒に遊ぶ時間なんてなかったな…
そんなことを感傷的に思い返しながら、
近くの神社の境内に行く。
いるいる。
クマゼミが、10数匹。
ひょい、ひょいと、続けてクマゼミを捕獲する。
どうだ?!
爺ちゃんの雄姿を見たか…とばかりに振り向くと、
泣きそうな顔をして見ているではないか。
ジージーとうるさい虫かごは父親に渡したままで、
セミに触ろうとするどころか、
虫かご自体を持とうともしない。
もう、セミがキライだと言うので、
3匹だけの戦果を、不服に思いながら帰路に着く。
家に帰り着いても、虫かごを覗こうともしない。
あげくに、セミさんを逃がしてあげたい…などと宣う始末。
父親と玄関から戻ると、
みんな元気に飛んでいったと、
今日一番の顔で喜んでいた。
今夕、予定していたプログラム。
近くの海岸でのニナ獲りは、順延だな。
Qとん家、代々の狩猟民族の血筋。
ゆっくり慌てず仕込んでいくしかないか…