かくして宝くじを忍ばせて参加した、

国東食彩ZECCOでの晩餐と、

クリスタル・サウンドの幻想的な夜は、

至福の一夜として終わったのである。


今さら語るまでもなく、昨夜のZECCO料理も美味しかった。

新鮮な国東の山の幸海の幸を豊富に利用した、

オーナーシェフの腕を振るった料理。

お世辞ぬきで大満足であった。


ただ、「えっ、まだ飲むの…」

と、グラスワインをオーダーするたびに浴びせられる

愛妻の冷ややかな言葉と視線。

ま、これはこれで、

適度な緊張感を維持するのには、

大いに役立ったかもしれないが。


で、食事を終えると、大広間に通される。


ZECCOは古民家を改修再生している。

この古民家の前の所有者は、

元自民党副総裁、田中角栄内閣の大番頭西村英一先生だ。

大広間は、8畳と6畳の二間を繋げてある。

かつて、ここで日本の政治が語られた夜があったのか…

などと思いが及ぶ。


赤壁と、やや小さい格子目の障子のコントラストが美しい。

天井に数箇所取り付けられたスポットの照明と、

部屋の中央にある大きい障子張りの主照明が、

部屋をより厳かにしている。

床の間は間接照明に浮かび上がる。

掛け軸の「百川而学海至千海」は、誰の言葉なのだろうか。

西村先生の書なのだろうか…


すっかり部屋の魅力に取り付かれたところで、

「クリスタル・サウンド」のことについて説明がある。

まったくの素人。

と言うか、ひそかに宝くじをカバンに入れて、

大晦日には七億円長者…なんて思って参加している凡人。

クリスタル・サウンドの音と波動は、

リラクセーションに効果があるのだと聞かされて、

また改めて、へぇ~~っの世界である。


クリスタル・サウンドの説明書には、

演奏終了後の注意事項として、

 ・ 水分を500ml以上取ること

 ・ 寝る前はシャワーを浴び、粗塩で体を洗って休むよう

 ・ 激しい運動や肉アルコールはなるべく避けるよう

なんて書かれてある。


え、場違いの処にきたんじゃねぇか…

第一さっき、ZECCOの自家製ローストビーフを頬張って、

赤ワインをたらふくいただいているし…


クリスタル・サウンドが始まったとたん、

地球人の姿に変えた異星人が、

脂汗を流しながら苦しみ悶え、

醜い姿に戻っていく…

昔見たウルトルマンの白黒の映像を思い出したりして、

まだ聞いたこともないクリスタル・サウンドに慄いたりする。


部屋の照明を一段と落とす。

そして、クリスタル・サウンドの演奏が始まる。

いつの間にか全身の筋肉が緩んだような感じになる。

水晶でできた大きな器の楽器の演奏者は、

まるでその楽器とともに踊っているように見える。

何千年前の神代の世界に誘われたような錯覚。


目を閉じる。

遠く何百光年も離れた宇宙を漂っているような気持ち。

不思議な音色とともに、流れるような光の線が脳裏に浮かぶ。


眠くなる…


演奏が終わっても、誰一人拍手すらしない。

きっと同じように神代から、宇宙から、

現実の世界に戻るのに時間がかかっているに違いない。


いい時間であった。

脂汗を流しながら悶え苦しむどころか、

心身ともリラックスすることができた。


美味い料理に満足して、

幻想的なクリスタルサウンドの世界に身を委ねる。

「国東おだやか博」の最終プログラムに、満足、満足である。


※ クリスタル・サウンドの演奏風景。

 動画に収めFacebookにアップしてみたのですが、

 あの唸りのような共鳴しあう音色は、

 実際にその場に居合わせないと感じられないようです。

 という訳で、残念ながら割愛です。