隣町の阿仁王さんから、ご招待をいただいた。
どんど焼きを見に来い、というものだ。
どんど焼きとは、小正月に正月の松飾り、
注連縄や古いお札などを持ち寄り焼く行事ある。
隣町では、江戸時代から続く「からす市」の前夜祭として、
12年前からどんど焼きを復活したそうだ。
喪中で正月飾りはなかったが、
神社の古いお札と焼酎を1本を抱えて顔を出す。
安岐川の川原に大きなやぐらが組み立てられている。
地域の村おこしグループが、朝から作ったのだという。
廃材を利用した丸太で井桁を組み、
朝切り出したばかりの青竹をかけ立てている。
高さは、6mくらいだろうか。
見事なやぐらである。
「もう、13回目になると、みんな慣れたもんで、
あっという間に出来上がるっちゃ…」
と、白髪頭のメンバーが自慢そうに説明してくれる。
とっぷり陽が落ちた午後6時15分。
厳かに祝詞があげられ、神事が始まる。
そして、火入れ式となる。
「今年の歳男、歳女はいませんかぁ~」
と主催者の阿仁王さんが呼びかけると、
「はい、はい。24歳の歳男でぇ~す」
と、相変わらず軽く応えてしまう。
還暦を迎える今年、
もう少し落ち着いた言動ができないものか、
と反省するところも一向に成長がない。
他の、本当に若い歳男や歳女に混じって、
灯油に浸した布のついた長竿でやぐらに火をつける。
あっという間に、やぐらは火柱となった。
風のない穏やかな夜だった。
わずかばかりの山からの西風を受けて、
炎の先端だけがなびく。
昨年のどんどの炎は、
まるで昇龍のように一気に上まで駆け登り、火
の粉を飛ばすように飛び散って崩れたのだそうだ。
今年は、巳年やけんな。
激しいけど、蛇がとぐろを巻くように炎も静かに飛び散らん。
周りの枯れ草がジワジワと広がっていくのは、
景気が全国に広がる徴(シルシ)かな…
今年一年、穏やかないい年になるぞ。
主催者の皆さん方は、
神官を交えて炎で一年を占っている。
赤い炎に照らし出された顔は、
どれも活き活きと輝いて、満足そうだった。
朝のやぐらの組み立てから後片付けまで、
裏方を務めた主催者たちの打ち上げがあるという。
その場まで、のこのこと顔を出してしまった。
20名ほどのメンバーが集まっていた。
平均年齢はきっと60才を超えているのだろう。
しかし、寄せ鍋を囲んで、
ビールや焼酎を酌み交わしながら懇談している顔は、
本当に活き活きとして若々しかった。
地域は、田舎の文化は、こうして彼らによって守られている。
住んでる者に活気があれば、その地域には活気が満ち溢れる。
あらためて、そう実感した。
おかげで充実した夜となった。


