昨日は、夏至。
お日さまの顔が出ている時間が、一番長い一日である。
大分県は県民をあげてのキャンドルナイトの夜。
午後8時から10時まで不要な照明を消そうという取り組みが行われた。
家族一つの部屋に集まってキャンドルの灯りを楽しんだり、
外に出て星空を観察したりした人もいたようである。
そんな夜。
煌々と灯りのついたとある割烹の、奥まった部屋にいつもの面々が集まる。
岩ガキを愛でる会である。
昨年秋田を旅した連中4人に、最近転勤してきたガス屋のオヤジと、やたら元気な司会者が加わった6人。
キャンドルナイトなんて、完全に頭の中から消え去っている。
ギンギンに冷えた生ビールがジョッキーで並ぶ。
キューっと喉越しに1杯目を空にしたところで、岩ガキの登場だ。
今年は、また一段と大きい。
皿の間に置いた携帯電話や、コップが小さく見える。
殻の厚みは4、5cmもあろうか。
殻の上にプリプリに肥ったミルク色の生身がのせてある。
大将の大ちゃんが、何時間もかけて殻をこじ開けて取り出してくれたものだ。
とても一口で食べれないほどの大きさだ。
これを、特性の酢醤油にタップリつけてかぶりつく。
プワーッと、甘いカキの汁が口に広がる。
「うん、おいしいぃ~」
「うめぇ~」
本当に美味いものは、唸りに似た言葉しかでないのだ。
生ビールを2杯空けると、西の関の冷酒が出る。
これがまた岩ガキに合うのだ。
冷酒のちょうどいい甘味が、カキの旨みと混じりあう。
一気に飲み込むのが惜しいほどだ。
調子に乗って、パクパクと大きな生ガキを4つも平らげたところで、残りをフライにしてもらう。
熱々の揚げたてのカキフライが出てきた。
特製の天然塩をちょっとだけ付けて、かぶりつく。
パァーッと熱い汁とともに、豊かな香りが口に充満する。
ホゴホゴと噛むと、柔らかくなった身が甘味とともに舌の上を転がる。
最高だ、最高の料理だ、と誰もが口にする。
ホゴホゴしながら、大ちゃんが応える。
「素材がこれだけ最高だと、何にしても美味いんっすよねぇ~」
至福の時であった。
今年は岩ガキの値段がべらぼうに高いのだそうだ。
東北での水揚げが減って、大分からの岩ガキも中央市場に送られているらしい。
こんな所にも震災の影響がでているのだ。
それにしても、夏至の夜。
家族団欒で手作りのロウソクを囲み、限られた資源のことや、大地震に被災された被災者のことに思い馳せている人も多いこの夜。
懲りない面々は、酔いどれ団欒で美味い岩ガキを食して大騒ぎの夜を過ごすことになった。
あげくの果て、このキャンドルナイトの夜も、一時も怪しげなネオンを消すこともなかった行きつけのスナックに場所を移し、遅くまでカラオケで大騒ぎをしたのでした…とさ。
