クリスマスイブ。

どこぞやの洒落たレストランで、

綺麗な女性とワインを傾けた…

などという若い頃の思い出は、

残念ながら全くない。


小さなクリマスツリーを飾り、

クリスマスソングを流して、

ビデオカメラをセットして、

妻の作った手料理で乾杯…

ファミリーパーティ風の、

家族7人のファミリィーパーティが、

わが家のクリスマスイブの定番であった。


それも、もう10年前までのこと。

今は、年老いた父と夫婦3人だけの、

いつもと変わらぬ夕餉の静かな夜が、ここ数年は続いている。


先日、飲み友達の先輩から電話があった。


「家でホームパーティするから…

 2階と3階を開放して、

 オープンパーティ形式だから…

 花火が終るまで、気軽にいてくれ…」


別府では、クリスマスイブの夜、花火が打ち上げられる。

「べっぷクリスマスHANABIファンタジア」のメインイベントである。

彼の大きな家のテラスからは、別府湾での花火が良く見える。


そう言えば、このイベントが始まった頃、

小学生の子ども達を連れて行ったこともあった…

ちょうど豪華客船飛鳥が寄港していた…

別府の子ども達に混じってクリスマスソングを歌えとけしかけても、

恥ずかしがっていたっけ…

と、感慨に耽っていると、


「イブを一緒に過ごす女性がいるわけじゃないんだろぉ~、

 先生と会長も一緒に、都合つけて絶対来てくれよ~」


とだけ言って、電話は切れた。

先生と会長というのも、飲み友達である。


昨日、二人から電話があった。


ホームパーティといった柄じゃない。

長居をして、花火を見ながらテラスでワイングラスを揺らすより、

適当な所で切り上げて、3人で気さくな居酒屋で飲み直すか…

と、話がまとまった。


会長が呟いた。

「よりによってクリイマスイブに、

 野郎3人で酒盛りか…」


戦後、高度成長期に浮かれていた時、

ギラギラの派手な三角帽をかぶり、

煌びやかなレイを何重にも首にかけた酔いどれの男どもが、

ネオン街を千鳥歩きをするのが、

クリスマスイブの定番の風景であった。


その後、デコレーションケーキの普及と共に、

クリスマスイブを家族で過ごすようになった。

コートの襟を立て、ケーキの入った大きな箱をぶら下げて、

家路を急ぐ男の姿が、クリスマスイブの風景に変わった


「それ、やりましょう。

 不景気のこの時代だからこそ、

 オヤジ3人で、レイをかけて三角帽かぶって、

 パァ~っと、賑やかなイブでもやりますか…」


「Qさん、先生のために

 ギンギラギンのチョーネクタイも手配しちょってな!」


イブまで数日しかない。

今日あたり、小道具調達にトイ○ラスに行ってみようか。


時代遅れのクリスマスイブが楽しみである。