会社に戻ると、事務所に待ち人がいる。

彼は神妙な手つきで、白い封筒を差し出す。

一見して結婚式の招待状と分かる。


彼は、この春にブログでも紹介した「婚活中の好青年」 である。


確か紳士的で慎重な態度が災いして、あの時の女性とは別れたと言っていた。

今度は、ちゃんと射止めたんだな、と聞こうとして止めた。

こういうめでたい話の時、別れた元彼女の話なんか切り出すのは、失礼と言うものだ。


「えっ、いつ?

 分かった!

 改めて返事はハガキで出すけど、絶対出席するから…」


来年の新しい手帳をめくりながら、慌ただしく出席を伝える。


彼が帰った後、そばにいた家内に「婚活中の好青年」の話を、かいつまんで話す。


部屋に泊まりに来た女性にベッドを譲り、自分はソファに寝て…

結局、その子とは別れたと言うのに、女々しく携帯に写真を残して…

そんな彼も、今度は肉食男子に変貌して、やっとこれで婚活も終了っちゅう訳か…


すると、家内が遮るようにして言う。


「うん、そんなこと言ってたよ…

 前に、あなたから色々言われたとか。

 結婚のお相手とは、何年かお付き合いした…

 って言ってたから、その別れた女性と縒りが戻ったんじゃないの」


ん?

もしかしたら、そうかもしれない。

未練たらしく、また言い寄ったのだろうか。

結婚するのは、あの時別れたと言っていた女性なのだろうか。


とまあ、ここまで書いたところで、彼に直接電話して聞いてみた。


「えっ、違いまっすよ。

 あの時は別れて、もう何ヶ月か経っていた時なんですから…

 ブログに変なことを書かないで下さいよ。

 大問題に発展してしまいます…」


彼の忠告を無視してしまった。


でも…

いいのだよ、好青年。

そうコソコソと、しなくたって。


結婚とは、縁なのだから。

複数の女性を天秤にかけて、妻に選んだ訳じゃない。


手も出さず、まんじりともせず夜を過ごす…

そんな経験が、活かされたのだから。

新しく巡り合った素敵な女性に、今度はグッと抱き寄せてキスをして、熱い愛を確かめることができたのだ。

そして、伴侶として彼女を選び、永遠の愛を誓うことができるのだ。


「草食男子」卒業、おめでとう。

イケメンの好青年と素敵なお似合いの新妻の誕生に、乾杯!

幾久しく幸せになって欲しいと願っている。