長崎での夜。

宴会は、新地の中華街の中華料理店に予約した。

一応、名前の通っている店である。


「あの…、個室にしていただきたいのですが。

 んで、コンパニオンを呼んでいいでしょうか?」


承諾してもらうと、さっそく長崎ナイトマップを広げる。

コレ!という店に目星をつけて、電話をかける。

9時ちょっと過ぎ。

ママが出勤したばかりで、まだ込み合っていない時間帯だ。


コンパニオンさん、お願いしたいんだけど…


コレと思った最初の店と、交渉が始まる。


何せ、前夜のことである。

誰の紹介があるわけでなし…

疑われてもしかたない。


最初は、2時間のコンパニオン代が一人で1万5千円だと吹っかけられる。

値切ると、一人8千円で良いけれど、90分3千円の二次会には全員の参加をしてくれと言う。


どうもフィーリングが合わない。

丁重に断わって、次のコレだと感じる店に電話する。


女の子は愛嬌が良くって…

明るくって楽しければ、年齢は問いません。

でも、年金生活者の場合、こっちがホスト代もらうかもしれないけど…


「5時から男」風のノリにも、ママが調子を合わせてくれる。


「ウチは、私が一番年上で、あとは皆若い子ばかり…

 二次会にお店に来ていただくんでしたら、コンパニオン代は要りません。」


「ヨシッ! それで決まり!

 コンパニオン代がタダちゅうのは申し訳ないから、一人2,000円で…」


と、ノリノリの雰囲気のまま申し込んだ。


長崎までの道中のバスの中、前夜申し込んだコンパニオンのことを皆に話す。


2時間2千円は、ちと安すぎる。

どこぞやの牛丼屋のバイト料ではないのだ。

酔いどれオヤジのテーブルのお世話をして、

時給1000円はおかしな話だ。

二次会の、2時間4千円が怪しい。

きっと、ホステスの飲むドリンク代が1杯2,000円とか、

頼んでもいない1万円のフルーツとかが出てくるぞ、きっと…

と、脅される。


飲み放題、カラオケ歌い放題で、2時間4千円と念を押したはず。

第一、明るい笑い声だし、あの手の電話応対のママに悪い人はいない…

はずである。

たぶん…


こちらの携帯の電話番号は知らせたが、ママの番号は聞いていない。

だんだん不安になったが、もう連絡のしようもない。


1万円のフルーツが出るか、蛇が出るか。


電話通りの明るい笑い声のママが、

それ以上に屈託のない笑顔の女性とやって来た。


同行の連中が疑う。


「以前行ったことのある店のママなんだろう?

 だって初めてなら、ママもママだよ…

 前夜の素性の分からん男からの依頼に…」


「だって電話の声で、悪い人じゃなさそうだし、

 楽しいお客さんだろう…って分かりましたもの。」


こういう褒め言葉はうれしい。


かつて、初めて行った秋田で、

ナイトマップで見つけたクラブのホステスさんを呼び出し、

塩魚汁(しょっつる)鍋を作ってもらったこともある。

そのクラブも、素敵なお店であったし…(「月日は百代の過客にして…」 参照)


感じのいいスナックを見つけるこの嗅覚。

我ながら、ひそかに自慢していいのかも…