ゴルフは、普通18ホールを1ラウンドと呼ぶ。

元々は、スコットランドで始まった紳士のスポーツだったと言われている。

その聖地セントアンドリュースのゴルフ場が、18ホールだったから…とか、

1ホールごとにスコッチウィスキーを飲んでラウンドしていくと、1本が空っぽになるのが18ホールだった…とか、

18ホールになった説も色々である。


個人的には、スコッチウィスキーを飲みながら…の説が好きだ。

もしも、ゴルフが日本で生まれたスポーツだったら、一升酒を1合ずつ飲んでいって空になる10ホールが、1ラウンドになっていたのだろうか?


ところで先日、とある放送局の取締役から提案があった。

ずい分会ってないので、いつものメンバーで久々にゴルフでもやって、夜は酒を酌み交わさないか…というのだ。


いつものメンバーに声をかける。

急な誘いだったが、4人がゴルフをすることになり、夜の懇親会に2人が合流して、6人で賑々しく飲むことになった。


ところが、前日になって、言い出しっぺの取締役から電話が入った。

「Qちゃん、ごめ~ん。

 先日のゴルフで、腰痛めちゃってさぁ~

 夜は、絶対行くケン 」


六本木での生活が長い取締役は、語尾に「…ケン」という言い回しの大分弁が、ことの他気に入っている。


結局、3人だけでゴルフをすることになった。


梅雨の合い間の天気に恵まれた、絶好のゴルフ日和であった。

1ホールごとにウィスキーを飲むわけじゃないけれど、酒好きの3人である。

昼食時は、まず生ビールで乾杯をする。

ゴルフの調子がどうであれ、ゴルフ場のビールは、なぜにあれほどに美味しいのであろうか。


夜は夜で懇親会が控えていると言うのに、3人は追加注文をする。

生ビールと焼酎のお代わりである。

もうすでに、宴会モードである。

3人だというのに、笑い声が絶えない、賑やかなテーブルとなる。


昼からのスタート時間を下げるように、変更を伝える。

すっかり盛り上がった頃、ゴルフに参加せずに夜だけ参加の連中に電話をする。


「梅雨だというのに…

 何ちゅうか、日頃の行いの良い人の集まり、だっちゅう…

 証明みたいなもんですね。

 今日は暑いくらいで、ビールが、サイコーです」


携帯電話は、次から次へと手渡される。

他のメンバーのゴルフの調子と、快適なゴルフ日和での、ビールの美味さをが伝えられる。


こうして、タイムリーに話題を共有することが、後の宴会が盛り上がる秘訣なのである。


すると、夜だけ参加の予定だった一人が、今からゴルフ場に向かうと言い出した。

今から、ラウンドすると言うのである。

最近、プライベートな事情でゴルフなどヤル気がおこらないと、すっかり塞ぎこみだった友人である。


酒も愛するが、人もこよなく愛する3人である。

せっかくゴルフをする気になったのだから、今から出てくる友人のために、あと1ラウンド付き合おう…と、いう事になった。


久々の1.5ラウンドであった。

27ホール目を終え、膝はガクガク…、身体もクタクタ…状態であった。

すでに、懇親会が始まる時刻の40分前となっている。


そのゴルフ場の露天風呂に入る時間はない。

バタバタと、泊まりの別府市内のホテルに向かう。

チェックインして、カラスの行水みたいなシャワーを浴びただけで、懇親会場に急いだ。


言うまでもなく、夜の部も大いに盛り上がった。

すっかり1.5ラウンドしたことなど忘れて、二次会まで繰り出していた。


ああ…

あの頃から、もう20年以上の月日が流れていたのだ。


ゴルフを始めた頃、1.5ラウンドなんて何のことはなかった。

ゴルフ場にいることだけで嬉しかった頃である。


1.5ラウンド、1万4千歩を歩いたのだと実感したのは、階段を下りるたび、イテテ、イテテ…と連呼する翌朝のことであった。