昨日は、大分市内のオアシスタワーの広場で、業界の記念式典があった。


このビルの3階には、献血ルームがある。

式典の片づけがすんでから、献血でもしよう…と、思いつく。

あの、「膵臓がん騒動」 の日以来の献血となる。


受付をすませて、担当医からお決まりの問診を受ける。

そして、比重を調べるための血液を採取する。


そのそばに、成分献血のベッドの空きを待つ女性が…


白い肌。

黒い瞳に長い髪…

綺麗な女性(ひと)だ。


およそ献血をするような女性には見えない。


こういう綺麗な女性は、献血ルームより病室が似合う。

コホン、コホン…と、空咳をして…

白く透き通った頬や手の甲は、はたして血液が流れているのだろうか…

と、心配になったりするほどである。

そんな悲劇の主人公のような、女性(ひと)が手術を控えていると思うからこそ、献血でもしようかと思うのである。


え~、彼女も献血をするんだろうか…

と、訝っていたら、名前を呼ばれ、テレビの備えられた成分献血のベッドの人となった。


私は、いつも400mlの献血である。

時間がかからないから、都合がいい。

昨日も、10分もかからず終わった。


いつもより針の痛みを感じる右腕を気にしながら、待合室で休息をとる。

休息ルームには、無料の飲み物とお菓子が置かれている。

ホットコーヒーを飲みながら、献血を終えた人を観察したりする。


若い人が多い…

ま、これはこちらが一方的に年をとったからであって、相対的なものなのだろう。


3人の女性と、4人の男性がくつろいでいた。


先ほど私の隣で400mlの献血をした男性と、親しげに話している女性は、付添だけなのだろうか。

彼女の前のテーブルには、飲み物とは別に空の紙コップがある。

そしてそれには、菓子の包み紙が溢れんばかりに突っ込まれていた。

スリムで無精ひげを蓄え、ややみすぼらしい恰好の彼と比べ、彼女は明らかに栄養たっぷりの体型である。


こんな女性なら、しっかり800mlくらい献血しても問題なかろうに…

と、勝手な空想をして楽しむ。


すると、洒落た恰好の若い女性が入って来て、受付カウンターに腰かける。

彼女も、色白で目鼻立ちのはっきりしたかわいい女性である。

お洒落着からして、献血だけのために一人でやって来たのだろうか。

彼女が献血するなんて…

愛する恋人か、家族の難しい手術に、成功を祈りながら、悲しみを押し殺して同じ血液型の血を献血する…

そんな状況でしか、献血をするタイプにしか見えない。



最近、肉食女子という言葉を、よく耳にする。


かつて、色白の女性は日陰の似合う大和撫子で、病弱な女性というイメージがあった。

少なくとも献血をする女性のタイプではなかったような気がする。

今や、ガリガリで貧相な体型の草食男子に代わり、献血を担っているのは、色白で健康的な笑顔の似合う肉食女子…となってしまったのだろうか。


昨夜、大分で飲んだ。

宿の近くの焼鳥屋に、立ち寄る。

注文した串を焼いている若いお兄ちゃんは、わが家の次男と同い年だという。

何度か一人で飲みに行く店で、もうすっかり大将とは顔なじみである。


今日の献血ルームの話を、大将にひと通り話す。

そして、若いお兄ちゃんに、話を振る。


「おい、青年。

 献血くらいはしたことあるんだろうね?」


すると、彼は無精髭ひげの生えたこけた頬を崩して、ニッとした。


「まだ、ないっす…

 でも、そんな綺麗な女性の血…

 自分に、輸血してもらいたいっすよねぇ~」


デレーっとするんじゃない。

日本男児は、女性から血を貰ったりするもんじゃなくて、血を流して女を守るもんだろうが。


あ~ぁ、こんな草食男子が増えてきたから、大和撫子も献血ルームに通わざるを得ないんだろうな…