もうずいぶん前にも同じような事を書いた気がする。

賑やかな祭りには、それを演出する黒子たちがいる。


確か、もともとは昔のようにホタルの飛び交う川に戻そう!

と言うのが、目的だったと思う。


もう16、17年前だったか…

「熊本県の人吉にホタル博士と呼ばれる、Y先生がいる。

 ホタルの生育については、九州での第一人者だ。

 ここに、視察に行こう!…」

と、誘われた。

「ホタル観賞の視察旅行で、人吉温泉に行こう!」

と、聞こえたのは、日頃の品行に偏りがあったためか。


ホタルの養育場を作ったばかりの熊本県旭志村(当時)などに立ち寄りながら、人吉温泉のY先生宅に着いたのは5時過ぎ。

ご先祖が元家老職だったというY先生のお宅は大きな屋敷である。

大広間でカワセミの鳴き声を聞きながら、2時間近くホタルの生態についてお話をうかがう。


そっかぁ~

ホタルの光は、オスボタルがメスを誘うものか…

この話題、今夜の人吉の歓楽街で酒の肴に使えるな…

などと考えていたから、そう退屈ではなかった…はずである。


7時を少し回った頃か。

私たちのホタル視察団の団長のK先生が、

「では、この辺で…」と、丁寧な挨拶を奥様に申し上げる。

これで、いよいよ人吉の温泉に浸かって大宴会…だと、目尻を下げていると、我々の車にY先生も同乗してくる。

隣町の免田町まで、ホタルを見に行くという。


「人吉温泉に浸かってホタルを観よう!」は、本当の視察研修旅行だった。

あっちのホタル出没地、こっちのホタル出没地を見て回る。

川ニナの生息しやすい場所とやらで、Y先生の説明を受ける。


結局、宿に入ったのは、午後8時50分頃であった。

予約していた公共の宿は、真面目な視察に疲れきった客でも、特別扱いなどしない。


「飲物のラストオーダーは、9時までですから。

 食事は、9時半までに、遅くとも9時50分までに終えてくださぁ~い」

もちろん、ビールをバーンと2ダース12本頼んで、同じ目的で参加していた3、4人の連中と、一気飲みのように飲み干した。

そして、30分の夕食を終え、人吉の歓楽街に飛び出たのである。


つい、数年前の出来事のように懐かしい。



そして、昨日は…

午後5時から8時までのほたる祭り。

その後のほたる観賞会。


市内外からやって来た人は、祭りのイベントやホタルの幻想的な光に喜んで帰る。


でも、彼らのうち一人でも、想像している人がいたのだろうか。

この数時間のほたる祭りと観賞会ために、1週間前に会場周辺の草刈りをし、当日は早朝から会場造りをし、ホタルの幻想的な光に嬌声を上げている頃イスとテーブルを片付け清掃し、翌朝早朝からテントを畳み、会場のステージの重い部材をぶつぶつ言いながら倉庫に運んでいる黒子の一人がいることを…


いいのである。

知る必要などないのである。

想像してくれなくたっていいのだ。


彼は、16、7年前の人吉ホタル観賞視察旅行に、鼻の下を伸ばして勘違いして参加した償いをしているだけなのだから…