連日の猛暑である。


昨日は、大分県日田市が全国で一番の猛暑だった…と報じていた。
摂氏36.8度。

平温の健常人が、扇風機をつけると、ドライヤーから出ている温風とかわらない温度だ。


ところで、うちの会社の1階テナントに、○○警備会社の営業所が今年の春から入居している。


事務所の入り口は、両面開きドアである。
前入居していたケーキ屋さんが、自動ドアとして使っていたドアを手動のドアとして、そのまま使用している。

ところが、この暑い夏も、ドアは開けっ放しにしてある。
つまり、事務所の中は、外気温とさほど変わらない。

ビル警備などもしているようだが、道路の交通整理で真っ黒になった顔の人も、ときどき出入りしている。


所長に訊ねた。

「前入居していたケーキ屋さんが置いていったエアコン。
 どうして使わんのですか?」

「スイッチが壊れてるようで…」

いらぬ節介かと思ったが、知人の電気屋が別の用事で来たときに、エアコンのスイッチをみさせると…

電源を入れるスイッチのカバーボタンが取れているとのこと。
先の尖った棒で、小さなボタンを押すと、エアコンの電源は、入ったり切れたりすることを教えて帰った。


所長は、言う。

「あ~、良かった。
 スイッチを換えるとなると、1~2万円かかるというから…」

電気屋が帰った後も、天井にはめ込まれた業務用エアコンからは、冷たい風が心地よく吹き出していた。
その風に当たって、常時いる事務職員はほっとしたような顔をしていた。


その顔に熱湯を浴びせるように、所長は続けた。

「いいか。
 このスイッチの『ひみつ』は、誰にも言うなや!」

と言って、先ほど教えてもらった通り、ハシの先で電源を切った。



地方の経済は、まだ冷え込んだままだ。
本社から、経費を節減するよう厳しく指示が出ているらしい。

県警の警察署長を務めて退職したというその所長は、訓示するような言葉でその事務職員に言った。

「外で真っ黒になって働いている連中に比べれば、ここは南極みたいなもんだぞ。」


南極 …??


しかして、ここ大分県が最高気温を出したというクソ暑い日にも、その警備会社の開きドアは、大きく開放したままなのである。