ネクタイ掛けには、かなりのネクタイがぶら下がっている。
ほとんどのネクタイは、自分で選んだ物だ。
中には、プレゼントされたのもある。
ネクタイを締める時は、スーツやブレーザーに合わせるだけでなく、気候や天気、それにその日の気分や、どんな場所にしていくかによって選ぶ。
「あなた、このネクタイ要らないでしょ?」
昨夜、家内が5本~6本のネクタイを持って来て、尋ねる。
聞くと…
この4月から社会人となる次男にやるのだと言う。
お洒落な長男は、自分で選んだ服やネクタイしかしない。
それに比べて、次男は寒ければ着るのが服だと思っている節がある。
就職活動も、家内が選んだスーツとネクタイ1本だけでこと足りたのだと言う。
その一張羅のスーツも、今年の正月に着て帰ったのを見ると、袖と襟には醤油か酒かなんかで付けたシミが…
ズボンとネクタイは、ヨレヨレであった。
「前から思っていたんだけど、こんな派手なネクタイ。
あなたには不向きだと思うわ…
もっと、年相応の落ち着いたのをしてよ…」
おい、おい…
そのピンクとネイビーブルーのストライプのネクタイは、あの人から貰った記念のヤツだよ…
え゛~~っ。
そいつは、あの時の思い出のネクタイだし…
…
…
ぐ~っと、下っ腹に力を入れて、明るく答えた。
「アイツがそんな洒落たネクタイしたって、似合わんて…
第一、結構高いやつばかりなんだぞ、それらは…」
かくして、思い出のネクタイは、近々次男の卒業式に上京する家内の旅行かばんの中に、収まったのでありました…