コーラ大、一つ!


一人で映画を観る時、
ポップコーンやフライドポテトを買うことはないが、
手持ち無沙汰を紛らわすため、コーラを買って席に着く。


ところで、最近、どうも涙腺が緩んできて仕方ない。
TVドラマを見ても…、
小説を読んでいても…、
人の苦労話を聞いただけでも…、
笑っているつもりが涙が流れ、
身につまされては鼻水を垂らすことが多くなった。


もしかしたら、最近皮膚がカサカサになって潤いがないのも、
血液中の水分が涙の成分となって、少なくなっているからではなかろうか。

したがって何はともあれ、ラージサイズのコーラは、
涙による脱水症状を引き起こすことなく、
映画を観終わるための必需品なのである。



前置きが長くなったが、「おくりびと」の鑑賞は、
涙腺がフィーバ、フィーバの大開放となった。
(フィーバという言葉が、ちと古臭いが)

真正面から納棺師の仕事を捉えると、重くなりすぎるからか、
笑いを取り入れた軽妙な展開。
大笑いをしているうちに、ふと気がつくと…
頬に一条の涙、鼻下には二条の鼻汁といった具合。

納棺師という職業に対する社会の偏見や蔑視を取り上げ、
それと対照的に、納棺師の職人的な仕事が、
かけがえのない人との別れになくてはならないことを強調する。

いい映画だと思う。


毎日毎日単純な仕事を繰り返す、ある女性の人生。
その仕事に安らぎの場所を提供され日々感謝している客と、
時代遅れだから仕事を止めろと理解を示さない息子。

亡くなって柩に納められたその人の指には、
毎日続けた仕事の証しの傷が…

納棺師によって、生前の生き生きした姿になって見送られ…
息子も、客も、その女性の人生を尊重し、
その人の人生に関わったことに感謝する。

そして、仕事に偏見を持っていた妻も…

いかん、いかん。
ストーリーは、まだ見ていない人のために伏せるのがマナー。


だいいち、こんな小理屈的な感想を抱くのは、
見終わって一日経ってからのこと。
まずはハンカチを握りしめて、ご覧になることを勧める映画である。