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弁理士(南俊宏)のチャレンジ

弁理士の仕事をする中で日々思ったことを書いています。

 最後に特許になった特許7429399号に係る発明をアメリカに出願しました。出願番号は18/638,704です。明細書は自分で翻訳しました。また、アメリカの代理人に依頼せずに自分で出願しました。私はマイクロエンティティに該当しますので、出願料は1/4に減額されます。このため、出願費用は総額364ドル(日本円で57,146円)ですみました。

 

 この経験をブログに書こうと思っていたのですが、止めることにしました。私はアメリカの特許制度はだいたい理解しています。しかし、アメリカの出願手続きを理解するのにかなり時間がかかりました。アメリカへの本人出願は、特許にかなり詳しい人でないと無理です。下手に本人出願すると、出願が無駄になってしまいます。

 

 もし、アメリカに本人出願したいと考える猛者がいれば、私が調べた資料一式と出願書類をGoogleドライブで公開します。コメントやメッセージでその旨ご連絡下さい。ただし、私はサポートしません。本人出願は自己責任でお願いします。

 ユニクロのセルフレジについての口コミと私の3件の特許についてこれまで5回に分けて投稿してきました。この投稿を読む前にこれら5件の投稿を読んで下さい。

 

 私は、最初の特許(特許7280583号)と2番目の特許(特許7381032号)を出願した時、ユニクロのセルフレジについての口コミに気づいていませんでした。これらの口コミに気づいたときに私は驚きました。

 

 また、最初の特許と2番目の特許を出願した時には、(1)天井における電波の反射には気づいていました。しかし、YouTubeにおける次ぎの投稿を見るまで(2)読取装置上部の開口周縁での電波の回折には気づいていませんでした。

https://www.youtube.com/watch?v=gj3E8YmLkv8

 【誰でもわかる!】ユニクロ(UNIQLO)無人レジICタグ(RFID)の仕組み

 このYouTubeの説明が正しければ、ユニクロのセルフレジはその外部のRFタグを読み取って当然です。(1)については過去に投稿していましたが、(2)に気づいた時にそれらの投稿を全て削除し、慌てて3番目の特許(特許7429399号)を出願しました。

 

 侵害訴訟の経緯からユニクロのセルフレジはアスタリスク社の特許発明に係る読取装置を含むと考えられます。そうであれば、アスタリスク社の特許発明は実施できない範囲を含むことになります。すなわち、アスタリスク社の特許の明細書と図面には上記(1)と(2)による誤検出を防止できる技術は記載されていません。このような場合、その特許発明は、発明が未完成であること(特許法29条1項柱書違反)、および明細書と図面が発明を実施できるように記載されていないこと(特許法36条4項1号違反)という無効理由を有すると私は考えます。

 

 特許庁の審査官殿には、特許査定する場合でも、発明が実施できることを保証する義務はありません。それどころか、発明を実施できない範囲が含まれている場合には、審査官殿は原則として拒絶理由においてそれを指摘すべきではないと私は考えます。発明が原理的に間違えている場合には拒絶理由でそれを指摘してもよいと思います。しかし、補正や再出願により実施可能な発明に修正することができる場合に拒絶理由においてそれを指摘すると、審査官殿が発明者となってしまいます。例えば、拒絶理由を見た元の発明者が再出願すると、冒認出願となるおそれがあります。特許になったことで安心してはいけません。

 

 口コミが事実であるならば、ユニクロは、上記(1)と(2)を解決できる発明について特許を取得した上で、それらの口コミをアスタリスク社(現在はNIP社)に伝えるべきでした。

 しかし、ユニクロにはまだ挽回のチャンスがあります。ユニクロ様が希望されるならば、私の3件の特許権およびこれらの特許に基づいて外国で特許を受ける権利を譲渡させて頂きます。譲渡を受ければ、私の特許発明を使ったセルフレジを世界中で独占的に使用できます。私の特許発明をユニクロ様に実施して頂ければうれしく思います。他の会社であっても私の特許発明の実施を希望される場合にはその会社にこれらの特許権を譲渡させて頂きます。これらの特許発明を実施したい会社からの連絡をお待ちしています。連絡先はシニア特許事務所のホームぺージに記載してあります。そのURLは次ぎの通りです。

https://senior-patent.amebaownd.com

 

 ただし、私の特許発明に係るRFタグ読取装置は試作・実証されていません。この点はご了承下さい。

 最後に、これまで3回にわたって説明した3つの特許発明をまとめた発明について説明します。これは、3番目の特許(特許7429399号)の請求項11に記載の発明です。

 この発明に係る読取装置の構成を図1~図4に示します。この読取装置も、収容部の上部の開口が開いた状態で収容部の内部にあるパッシブ型RFタグからのみ情報を取得することができます。

 

 この読取装置は、左側面部と背面部と右側面部が正面部よりも高くなっています。左側面部と背面部と右側面部は電波吸収層で覆われています。底面部は電波吸収層および/または電波反射層で覆われています。収容部の内部は、減衰空間と収容空間とに分かれています。減衰空間にはRFタグが取り付けられた物品は収容できません。RFタグが取り付けられた物品は収容空間に収容されます。底面部と正面部と左側面部には、それぞれ底面アンテナと正面アンテナと側面アンテナが取り付けられています。底面アンテナと側面アンテナは収容空間に向けて強度の大きな電波を放射します。正面アンテナは背面側に向けて電波を放射します。

 この読取装置では、物品が入った買物カゴを正面から容易に出し入れできます。

             図1 斜視図

        図2 A-A線断面図

        図3 B-B線断面図

         図4 平面図