ユニクロのセルフレジ訴訟についての私の考え | 弁理士(南俊宏)のチャレンジ

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 ユニクロのセルフレジについての口コミと私の3件の特許についてこれまで5回に分けて投稿してきました。この投稿を読む前にこれら5件の投稿を読んで下さい。

 

 私は、最初の特許(特許7280583号)と2番目の特許(特許7381032号)を出願した時、ユニクロのセルフレジについての口コミに気づいていませんでした。これらの口コミに気づいたときに私は驚きました。

 

 また、最初の特許と2番目の特許を出願した時には、(1)天井における電波の反射には気づいていました。しかし、YouTubeにおける次ぎの投稿を見るまで(2)読取装置上部の開口周縁での電波の回折には気づいていませんでした。

https://www.youtube.com/watch?v=gj3E8YmLkv8

 【誰でもわかる!】ユニクロ(UNIQLO)無人レジICタグ(RFID)の仕組み

 このYouTubeの説明が正しければ、ユニクロのセルフレジはその外部のRFタグを読み取って当然です。(1)については過去に投稿していましたが、(2)に気づいた時にそれらの投稿を全て削除し、慌てて3番目の特許(特許7429399号)を出願しました。

 

 侵害訴訟の経緯からユニクロのセルフレジはアスタリスク社の特許発明に係る読取装置を含むと考えられます。そうであれば、アスタリスク社の特許発明は実施できない範囲を含むことになります。すなわち、アスタリスク社の特許の明細書と図面には上記(1)と(2)による誤検出を防止できる技術は記載されていません。このような場合、その特許発明は、発明が未完成であること(特許法29条1項柱書違反)、および明細書と図面が発明を実施できるように記載されていないこと(特許法36条4項1号違反)という無効理由を有すると私は考えます。

 

 特許庁の審査官殿には、特許査定する場合でも、発明が実施できることを保証する義務はありません。それどころか、発明を実施できない範囲が含まれている場合には、審査官殿は原則として拒絶理由においてそれを指摘すべきではないと私は考えます。発明が原理的に間違えている場合には拒絶理由でそれを指摘してもよいと思います。しかし、補正や再出願により実施可能な発明に修正することができる場合に拒絶理由においてそれを指摘すると、審査官殿が発明者となってしまいます。例えば、拒絶理由を見た元の発明者が再出願すると、冒認出願となるおそれがあります。特許になったことで安心してはいけません。

 

 口コミが事実であるならば、ユニクロは、上記(1)と(2)を解決できる発明について特許を取得した上で、それらの口コミをアスタリスク社(現在はNIP社)に伝えるべきでした。

 しかし、ユニクロにはまだ挽回のチャンスがあります。ユニクロ様が希望されるならば、私の3件の特許権およびこれらの特許に基づいて外国で特許を受ける権利を譲渡させて頂きます。譲渡を受ければ、私の特許発明を使ったセルフレジを世界中で独占的に使用できます。私の特許発明をユニクロ様に実施して頂ければうれしく思います。他の会社であっても私の特許発明の実施を希望される場合にはその会社にこれらの特許権を譲渡させて頂きます。これらの特許発明を実施したい会社からの連絡をお待ちしています。連絡先はシニア特許事務所のホームぺージに記載してあります。そのURLは次ぎの通りです。

https://senior-patent.amebaownd.com

 

 ただし、私の特許発明に係るRFタグ読取装置は試作・実証されていません。この点はご了承下さい。