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九大昆虫班のブログ

九州大学生物研究部昆虫班です。班員が交代して更新します。

クシヒゲカゲロウ科Dilaridaeの一種 Dilar sp.(未同定です)



(17 VII 2020,福岡県糸島市)

自宅から自転車と徒歩でも行ける範囲で,いちばんの山奥にて出会えました.
ライトトラップに飛来したものです.
触角がクシヒゲ状になっているのがオスということなので,写真の個体はオスだと思います.
そして,灯火にやってくること以外は生態が全くわかっていないそうです.

見つけて写真を撮る前に採集してしまい,「家に帰ってから元気なうちに撮影しよう」と思っていたのですが,家に帰る途中で原付のヘッドライトが切れたため,延々延々延々延々原付を押して帰ったので,撮影するころにはだいぶ弱ってしまいました.

元気なうちはもっと魅力的なアミメカゲロウです.

(西谷)

皆さんお久しぶりです。昆虫班3年の徳升です。

1年と数ヶ月前、八重山遠征記にて鱗翅のお話をさせていただいて以来の執筆となります。

よろしくお願いします。

 

前回の執筆時私は主に蝶を採集していましたが、今はすっかり蛾ばかりを採るようになりました。と言っても基本はマクロしか採っていないのですが…

それに伴い採集は夜間のライトトラップが中心となりました。最近は週1~2回程度どこかでライトを焚いています。

光源はHIDライトと紫外線LEDを使用しています。

 

さて、今回の記事では2020年7月17日夜に大学近辺の某山の標高500~600m地点にて行ったライトトラップの成果を簡単に紹介していきます。

 

 

2020-07-17 20:00頃点灯

沢沿いで焚いているので、まずカゲロウをはじめとした多数の水生昆虫たちが飛来します。目立つ蛾はほぼいません。

 

20:30頃

ここでなんとアカアシクワガタが飛来!初めて見ました。

同時に蛾も飛んできました。

Xestia efflorescens (Butler, 1879)

キシタミドリヤガ

 

比較的ふつうに見られるモンヤガです。前翅の緑色がとても美しいですが、和名のとおり後翅は派手な黄色をしています。今回のライトでは多数飛来しました。

 

蛾の飛来が続きます。

Tarsolepis japonica Wileman & South, 1917

ギンモンスズメモドキ

 

一見するとスズメガのような、なんとも奇妙な恰好の蛾ですが実はシャチホコガ科に分類されます。前翅の特徴的な紋は本当に銀色で、角度によってキラキラ輝きます。憧れの蛾でしたが、2桁ほど飛んできて驚きました。いるところにはいるようです。

 

21:00頃

いつの間にかバッテリーに鎮座していたコロギス。

触角の長さに驚かされました。

 

続いてやってきたクワガタはなんとミヤマクワガタ!こんな近場にもいるんですね。

 

21:30頃

またクワガタです。今度はノコギリクワガタ。総合的に見てこの夜一番たくさん飛んできたクワガタは本種でした。

蛾も新顔が参入。

Numenes albofascia albofascia (Leech, [1889])

シロオビドクガ本土亜種

 

この時期、灯火にはよくドクガがやってきます。毒蛾とはなんとも物騒な名前ですが、本種の成虫は触るぶんには無害です。見た目は少し毒々しいですが…

ドクガは性的二型が顕著なものが多く、本種もそのひとつです。この夜、多数のシロオビドクガが飛来しましたが全てオスでした…。

 

先ほど紹介したギンモンスズメモドキ、もうひとつ変わった特徴があります。

オスはとても派手な赤い毛を隠し持っています。この毛は、天敵に対する威嚇のためのものだとする説が有力なようです。どこまでも奇妙で魅力的な虫ですね。

 

この先、飛来がばったり止んでしまいます。

目立つものは、オオミズアオやマエグロシラオビアカガネヨトウ、フトオビホソバスズメくらいであまり平地と変わり映えしません。

近くの木にとまっていたシロスジカミキリを観察しながら新たな虫の飛来を待ちますが、蛾に関しては特筆すべき進展はありませんでした…

その後、バッテリーが切れる翌1:00頃まで採集を続け、帰宅しました。

 

 

ここまで、蛾を中心に大型でポピュラーな昆虫を紹介してきました。

あまりにミーハーな内容で飽き飽きしてしまった方もおられるかと思いますが、後日このライトで得られたある虫について他班員が記事を書く予定ですのでそちらもお楽しみに…。

ちなみに他には、

・メンガタヒメバチの一種

・アメバチモドキの一種

・カモドキバチの一種

・ホソカミキリ

・キマワリ

・ナガサキクビナガゴミムシ

・セスジカクマグソコガネ

・ヒメセスジカクマグソコガネ

・モンキマメゲンゴロウ

・マルツノゼミ

・ツノゼミ

などが来ていたようです。

 

僕は自前のライトトラップの設備を用意してからまだ半年も経っていない初心者で、しかもそのほとんどが平地での採集でした。今回少しだけ標高を上げて灯火採集に挑戦しましたが、昆虫層に若干の変化が見られ新鮮でした。

今後も近場の山地を少しずつ開拓していけたらいいなと思っています。

 

少し長くなってしまいましたが、読んでいただきありがとうございます。

(おまけ:ヒグラシ♀の羽化)

みなさま,ご無沙汰しております.

 

生物研究部昆虫班はとりあえず生きています.

ご心配なく.

新型コロナウイルス感染症対策で,対面での活動は行っておりませんが,オンラインの班会議や個人での採集・観察など精力的に(?)活動しております.
もともと「全員集まってどうこう」という活動は多くなかったので,「平常通り」と言っても良いかもしれません.

さて,久しぶりの更新となってしまいましたが,今回は近所で採集したアリについて駄文を書かせていただきます.


改めまして,3回生の248です.
ツチクビレハリアリSyscia humicola (Ogata, 1983)を採集しました.

とてもうれしい出会いでした.

 

(福岡県糸島市 13 VII 2020)

 

体長2.5mmほどの眼のないアリです.林床に生息しますが,生態はよく分かっていないようです.このアリに近い仲間は他種のアリの巣を襲ってアリの幼虫などを捕食するそうなので,本種もそのような生態である可能性が高いように思います.

 

(杉林)

 

採集場所は沢沿いの薄暗い杉林内です.正気の虫好きはおよそ立ち入らないような場所に見えます….ここで石を起こしてアリを探していました.石下にあったニセハリアリHypoponera sauteriのコロニーを採集したところ,そこにツチクビレハリアリが1頭だけまぎれていたのです.


今後はブログを少しづつ更新していきたいと思います.
(248)