皆さん、こんにちは

 

 九州大学共創学部4年の山田望です。

恐縮ながら歴史ある九州大学硬式野球部のマネージャーを務め、非常にたくさんの経験をさせていただきました。

 

 まず、硬式野球部で過ごした4年間は私にとって宝物のように楽しく幸せな時間でした。

 何の間違いか、高校まで9年間やっていたバスケットボール部には目もくれず高校の同期である伊津野光に誘われ硬式野球部の門を叩いてからはや4年、ルールも何もわからない状態で男所帯のこの世界に飛び込み、選手には「練習に来ない」と揶揄されながらも大きな問題も起こさず4年間過ごせたことは奇跡だと思っています。

今となっては、大学に入って一番良かったことは硬式野球部に入部したことだと胸を張って言うことができます。すべて関係各者様のお力添えあってのことで、この場所を借りて御礼申し上げます。ありがとうございました。

 

 マネージャーが練習に行ったら感謝される部活なんてほかに存在するのでしょうか。

私は入部当初、3年上の先輩マネージャーである村松さんに「平日に練習に行ったら拍手が起きる」といわれ、「いやいや、そんなまさか」と思っていました。

 当時の私の中の野球部マネージャー像は高校野球のマネージャーであり、毎日練習に参加するのはもちろんのこと、ジャージに野球帽をかぶり飲み物を用意したりおにぎりを作ったり、ボールを整理したりと仕事に追われる忙しいマネージャーでした。しかし実際は、平日はグラウンドにいてもやることがないから平日練には来なくていいといわれ、平日はオープン戦関連の書類を準備したり学務とのやり取りをすることに時間を使い、マネージャーがグラウンドに顔を出すことはほとんどなく、大学野球のマネージャーはグラウンドでの仕事より事務仕事のほうが多いのかと拍子抜けした記憶があります。

 しかしそんなある日、時間割的に余裕があったのか、気が向いたのか、「たまには平日にグラウンドに顔だそう」と思い立ち、愛車の電動自転車をフル稼働してウエストの坂道を上り野球場に向かいました。

 野球場について自転車を停め、グラウンドに入り、荷物を置くためにバックネット裏から一塁側ベンチに向かっていくと、道具を取りに来た選手と会いました。彼は一瞬こちらを見て、「人がいる」と認識し、「コンチハ」とあいさつをし、通り過ぎようとしてもう一度私を見、驚愕の表情で一言「のんちゃんじゃん」といいました。(高校までの知り合いであれば私が「のんちゃん」呼びされていることに違和感を持つでしょう。その気持ちわかります。)

 その声に気づくや否や近くにいた選手たちが口々に「え?」「のんちゃん来たん?」「なんで?」「どうやって来たん?」と質問し、しまいには「何しに来たん?」と聞かれました。マネージャーが来て「何しに来たん」って聞かれるのって今考えたら変な話ですね。当時の私は突然の質問攻めに面喰いながらも「時間があったので顔出そうと思って来たんです」と答えると、「へー」「なるほどね」とまたも口々に言った後、にやにやしながら「えらいじゃん」といわれました。部活にきて「えらいじゃん」とほめられる(?)世界線。一応小中高とちゃんと運動部のプレーヤーをしてきた身としては妙な気持になったことを覚えています。

 その日はTを打つ選手のボール出しの手伝いをすると、「今日来てくれてありがとうほんとに」といってくれたり、練習後ボールを拭くのを手伝うと「マネージャーがいるだけで(練習の雰囲気が)やっぱり違うわ」といってくれたり、とても感謝してくれて、「村松さんが言っていたことは間違いじゃなかった!」と身に染みて実感しました。

 その後味をしめた私は調子に乗り助長していきますが、そんな私にも同期をはじめとして選手たちは優しく、ほめて伸ばす姿勢で接してくれました。その環境に甘やかしに甘やかされ、最終的に私のかわいいかわいい後輩マネージャーも、私が面倒を見ているつもりがいつの間にか私を甘やかす側に回っていたので、なんかおかしいなと思いながらとても楽しい時間を過ごさせていただきました。本当にありがとう。

 

 さて、長くなりましたが、私は九大硬式野球部がまぎれもなく一番いい部活だと確信しています。暑すぎたり寒すぎたりするふきっさらしのグラウンドで、文句を言いながら練習を眺めるあの時間は今となっては楽しい思い出です。先輩にも後輩にも恵まれ、リーグ戦を通じて他校の友人にも恵まれ、そして何より同期に恵まれました。ありがとう。彼らがどう思っているのかは知りませんが、私はみんな好きです。これからお互いの姿を目にすることも少なくなるとは思いますが、君たちなら何とかうまくやっているだろうと信じて、それぞれの行く先に幸あれと遠くからではありますがこれからも応援しています。

 

 最後に後輩のマネージャーたちへ、頼りない私たちに愛想をつかさず慕ってくれてありがとう。どんどん新しいことに挑戦しているあなたたちを誇りに思います。大変なことも増えるかもしれないけど、助け合って、仲良く、楽しく、あなたたちの力で部活を盛り上げていってください。ずっと応援しています。

 

 さて、終わり方がわからなくなる前にここらへんで次の方にバトンタッチしたいと思います。

 

 次は我らがキャプテン小川くんです。キャプテンとして期待を一身に背負いチームを牽引する一方で何かといじられるという稀有な存在。その仮面の下に何を隠していたのか。次回乞うご期待!