勤めている病院で薬を貰うこと | kyupinの日記 気が向けば更新

勤めている病院で薬を貰うこと

医師に限らず、病院に勤める人のメリットの1つは、院内薬局の薬を処方してもらえることである。例えば降圧剤だけ服薬し安定している人は、他病院に通院する時間が省ける。

 

近年、精神科入院中の患者さんが高齢化しているが、職員の高齢化も半端ない。うちの病院では、ここ10年ほどで師長で退職した人は全員、呼び戻されて働いている。ただし、師長で退職した人も師長の役職ではなく、平社員になっている。その方が運営的には良いのであろう。したがって師長当時よりはるかに影が薄い。

 

職員が高齢化すれば持病を持っている人も多く、かなりの人たちが処方を受けている。人気のある薬は、ロキソプロフェン、ロキソニン、ロキソプロフェンテープ、カロナール、風邪薬(PA、PL顆粒、ツムラ葛根湯)などであるが、鼻アレルギー薬(フェキソフェナジンなど)やプレガバリンも処方が多い薬である。年齢を重ねると、痛いところが増えるのがよくわかる。

 

 

なぜ院内薬局にロキソプロフェンとロキソニンという同じ薬があるかというと、この2つは効き方が異なり、一部の職員がロキソニンを強く希望するためである。おそらくたいした差がないと思うが、複数人同じことを言う人がいるので、二人組精神病的な好みの重複のようなものかもしれない。

 

ちなみに、うちの嫁さんはロキソニンよりロキソプロフェンの方が効くと逆のことを言っている。僕はこの2剤の差がわからない。基本、ロキソニンは飲まない方針というのもある。頭が割れるほど痛いときは仕方なく飲むが、どちらでも同じくらい有効である。

 

当院では向精神薬を貰う人はかなり少なく、ゾルピデムなどの眠剤を希望する人が数名いるだけである。昔、バブル当時、ハルシオンが大人気だったが、今はあまり希望する人がいない。既に知らない人も多いのではないかと思う。ハルシオンは眠剤として色々と洗練されていないからである。

 

今回の記事は、このような院内処方で薬を貰った時の支払いの話である。

 

ずいぶん昔、民間の単科精神科病院では、院内薬局で貰う薬はタダの病院が稀ならずあった。僕の若い頃は、院内薬局で薬(例えば風邪薬)を処方されても、支払いは必要ないことが多かった。

 

つまり、病院的には健康保険で7割は収入があるので、3割分は福利厚生的に無料にしていたのであろう。

 

しかしこの方法は良くないのである。この方法だと、毎月多くの薬を貰っている人ほど、その分報酬が増える計算になる。これは長期的には影響が大きく、たくさん薬を貰っている人ほど、将来年金額に反映し多く貰えるようになる。

 

例えば遠距離通勤で毎月2万円の通勤手当を貰っている人がいたとしよう。この人は年額で24万円分の報酬が高いとみなされ、そのために将来の年金額が増加するのである。どのような形でも、会社から貰えば貰うほど良いといった感じである。

 

しかし、このようなルールは公平なので今は是正されているかもしれない。

 

もしかしたら、当時は3割分の病院手出しは報酬とはされず、別の会計処理をしていたかもだが、税務署の監査で「これは報酬になります」と指摘を受け、以降報酬とした結果、社会保険料などにも影響し、会社の負担が増えるようになる。こうなると、3割分は徴収した方が良い。

 

僕は1990年代までは勤め先の病院で医療費を支払ったことがなかったが、今は普通に支払っている。