コンビニのアルバイトができる人はレベルが高い | kyupinの日記 気が向けば更新

コンビニのアルバイトができる人はレベルが高い

精神疾患によりアルバイトも向き不向きがある。僕はコンビニのアルバイトができる人はポイントが高いと思う。これは、コンビニでアルバイトができる人は他のアルバイトも広くこなせそうと言う意味である。ここでは、ミスが多く店長に叱られてばかりの人はできるとは言わない。

 

ある日の診察中、コンビニは色々なことを覚えねばならず、同時にしないといけない業務も多いので大変と言う話が出た。

 

現代のコンビニはキャッシュカードや交通系パスモなど様々な支払い方法があるし(チャージも含め)、税金の支払いや住民票も取れるようになり、レジ打ちだけできるのでは到底務まらない。

 

ADHDの患者さんで、コンビニよりもう少し易しそうにみえる居酒屋のアルバイトで、大学生なのにミスがあまりにも多く、店長から高校生やフリーターより遥かに仕事ができないと言われショックを受け、精神科に初診した人がいる。

 

これは障害に由来するミスの多さと仕事の出来なさなので、治療すれば改善が見込めるタイプといえる。実際、その女子大生は間違いなく留年&退学するような状況だったが、留年を免れコンサータなどを服薬し今は役場に就職しコロナ対策の部署で忙しく働いている。(もはやコンサータは服薬していない)

 

ある患者さんの診察時、アルバイトは概ね同じような時給だが、どれが難しくてどれが易しいのか話し合ったことがある。

 

その日挙がったアルバイトは、喫茶店、ホテル、ツタヤ、スターバックス、ホカ弁の厨房などである。もっと種類はあるが、若い人たちが選びやすいものを挙げている。

 

喫茶店は閑散とした店なら易しいが業務にもよる。注文を取る業務では、注文を取って奥の厨房に伝えるだけなので、少なくともコンビニよりは多様性がなく易しそうである。あるうつ病の患者さんは、寛解後、のんびりした喫茶店で働いていたが、業務によるストレスはほとんどなかったという。その後、スターバックスに勤めるようになったが、少なくとも喫茶店よりは大変だったらしい。スタバは開店の1時間前には出社しなくてはならないという。

 

精神疾患により向き不向きはもちろんあり、ASDでは愛想よく接客しなくてはならないフロントに立つ業務(コンビニだけに限らず)難しい人も多い。社会不安障害などを合併している人であれば、ストレスで更なる二次障害を起こしかねない。そういう人は大きく悪化させるリスクのあるアルバイトはしない方が良い。

 

なお、アメリカのコンビニは客を客と思わないようなぞんざいな接客なので、日本人であればかなりの人ができると思う。つまりASDやADHDの人は海外の方が日本より就労できる仕事の範囲が広がると思われる。

 

ASDの人ないしグレーゾーンの人は、エクセルに数値を入れていくなどの単調な業務は周囲の人間関係が悪くないならできるようである。通販などの商品のクレームを扱うコールセンターは、ASDの人にはかなり大変だと思う。一方、コンピュータ・パソコン関係の電話やチャットでのヘルプ業務は対面接客がないので専門的知識があればまだやれそうである。

 

軽い統合失調症の女性はホテルやレストランの厨房では働けるという人がいる。これはたぶん統合失調症の婦人はそこそこ重くても料理はできる人が多いことと関係ありそうである。料理以外を同時にしなくても良いのも良い。僕の統合失調症の女性患者さんで定年まで障害年金を貰うことなく勤め上げた人は厨房で働いていたので(数回入院があるが)、多少欠陥症状があってもできる業務なんだと思う。多分、ホカ弁の厨房も似たような業務であろう。僕の女性の外来患者さんは厨房か清掃の仕事をしている人が多い。

 

ホテルのチェックアウト後の清掃やリネンの交換は概ねすべきことが決まっているものの、要領の悪い人は時間がかかりすぎて一緒に働く人から嫌われるのでADHDの人は向かないと思う。そういえば、温泉旅館などに宿泊すると、チェックアウト後の清掃の人に東南アジア出身の女性をよく見る。ホテル・旅館業界で積極的に採用しているのかもしれない。

 

統合失調症の人は役場やショッピングモールなどの清掃の業務に就いている人も結構いる。清掃は業務の多様性があまりないのが良いのだろう。

 

ある日、歯科に行った際、トイレのウォシュレットが壊れており、たまたま近くにいた掃除のおばちゃんにそれをつたえようとした。向こうを向いていたので呼びかけた際、ぱっと振り向いたら、ひとめ統合失調症の患者さんで、しかも軽くはなかった。彼女は返事をする際に奇妙な顔つきをし、また独語もあり、話が通じたかどうかも不明であった。高齢のようにも見え、このレベルで掃除の業務をしているのは凄いと思った。これを見ても、清掃はコンビニの仕事に比べ遥かに難易度は低い。しかしその患者さんたちに指示し、一緒に清掃をするリーダーの人(この人も統合失調症)によると、能力がかなり低い人が来るので大変なんだそうである。

 

このようなことから、コンビニでアルバイト歴があり、店長や同僚から叱責や注意を受けることなくこなせる人は、接客ができ社会性もある程度の水準にあり、さまざまな業務もそつなくこなせることを示唆していると思う。

 

参考