夫婦や家族全員の主治医になること | kyupinの日記 気が向けば更新

夫婦や家族全員の主治医になること

うちの病院では、新患を受ける際に医師の間で不公平にならないように割り振るようにしている。

 

以前は、オールカマーというか、患者さんが受診した日にそのまま新患として診ていたので、医師間で不公平が生じた。恐ろしいことに1日に8人新患があったりするのである。僕の1日の最多新患人数はたぶん4人か5人だと思うが、新患4人は数回どころではないくらいある。

 

リエゾンは1日に多くの新患が集中することがある。その理由は病院内の連携などなく、個々の科でバラバラに診察を求めるからである。そのようなわけで、1日のリエゾンの最多新患人数は8人である。リエゾンでは再診も診るので、まさに終わったらヘトヘトである。(もう若くはないし)。

 

精神科医に限らないが、勤務医は民間病院であったとしても公務員の感覚に近い。その理由はたくさんの新患を診たとしても、出来高で給料やボーナスが増えたりしないからである。ここがクリニックを経営している医師との大きな相違だと思う。

 

従って特定の医師に新患が集中するのは、不公平になるし医師間がギスギスした空気になるので宜しくない。新患が増えることは、自立支援法や診断書などの書類が増えることでもある。

 

上のようなことから、院内で公平に新患を割り振ることの重要さがわかると思う。

 

ところが、受け持ち患者さんから自分の家族を診てほしいと言うニーズが少なからずある。特に夫婦、親子、兄弟である。僕の場合、多くの外来患者さんを診ているため、このニーズのために更に新患が増えていく。

 

その患者さんが特定の医師にかかっている際、家族は他の医師が診るパターンはないわけではないが、主治医への信頼感が高ければ高いほど、同じ医師に診てもらうことを望むものだ。

 

そのような理由でうちの病院では、夫婦で診ているとか、親子で診ているというケースはかなり多い。例えば、家族4人全員診ていることも稀ならずある。

 

例えば夫婦で診ている場合、配偶者から見て本人が良くなっているのかどうかが、他覚的に意見が聴けるのが良い。本人だけ診ているのと大違いである。つまり家族を診るメリットはそこそこある。

 

そのような理由から、僕は患者さんの家族、親戚は同じ医師にまとめた方が良いと言う感覚を持っている。

 

元々紹介などなく、別々に初診し家族は他の医師が担当していると言うこともある。これもいったん主治医が決まったら変更することはなくそのままである。主治医が違うから非常に困るということはない。

 

この「家族を診てほしい」と言う依頼だが、主治医に期待に応えたいと言う気持ちが少なからず湧くため、快方に向かう期待値が少し上がっているような気がする。

 

その患者さんの経過が良いからこそお願いされるわけで、主治医への評価が低いなら、依頼するわけはないであろう。

 

もし、真にデジタルに新患を割り振るのであれば、家族全員が異なる主治医ということもありうる。

 

うちの病院では、上に記載した理由でそういう方針は採らないのである。