新型コロナ後遺症と年齢について | kyupinの日記 気が向けば更新

新型コロナ後遺症と年齢について

新型コロナ感染後の後遺症の治療機会が最近多いが、その疾患像の個人的感想について。今回は、特に年齢との関係について紹介したい。

 

基本、新型コロナ感染症で精神科に来るような人は、息切れなどの呼吸器系症状がほとんどなく精神面の愁訴が多い。従って向精神薬で治療する流れになる。もし精神科に受診して、向精神薬治療を断るような人がいたとしたら、最初から治療を断ると思う。

 

新型コロナ感染後の後遺症は、おそらく非常に治癒率が高い。若い人であればほとんど痕跡なく治癒する人がほとんど全てで、それもたいてい2週間以内に良くなることが多い。初診で2週間分処方したら、2回目受診で既に症状がほぼ消退している。

 

僕の場合、リエゾンなどでも高齢者の新型コロナ感染症後遺症の治療をしているが、若い人と症状が異なる。また、合併症がある高齢者でも新型コロナに罹患したとしても、亡くなることはかなり稀な印象である。これは高齢者のワクチン接種率が高いことも関係していると思われる。

 

高齢者の新型コロナ治癒後の精神症状の乱れ(興奮、拒絶、暴力、食思不振など)は、一般的な感染症後の精神症状と差がない。だから、ほとんど薬物治療の流れも同じになる。

 

若い人は、うつ状態と言えばそうなるかもしれないが、症状性の病態っぽいのが特徴だと思う。例えば線維筋痛症的な病態。全身倦怠感、疲労感などである。あまり動けないので仕事にも行けないと言った感じ。

 

また、筋肉がピクピクするとか、レストレスレッグ症候群類似の症状を伴う人もいる。レストレスレッグ症候群と少し異なるのは、下肢の症状に限らないことである。

 

また、このような病態を診ていると、新型コロナ後遺症は人を選んでいるような気が非常にする。(つまり後遺症が出やすい人とそうでない人がいる)

 

この記事の最初のあたりで2週間以内に改善する確率が高いと記載したが、これは一般的なSSRIの効果発現までの時間を考慮すると間に合わない。SSRIは無駄とまで言わないが、SSRIを使わなくても良くなると思う。(使うべきではないとは言わない。例えば食欲不振がある人はSSRIは使い辛い)

 

今回、個人的に新型コロナ後遺症の治療する機会を持ち、レストレスレッグ症候群と慢性疲労症候群の理解が深まった。今日の記事は各論的なものなので詳細には触れないが、いつか機会があったら紹介したいと思う。

 

たまに高齢者なのに1回もワクチンをしておらず、新型コロナに罹患して後遺症を呈する人もいる。しかも家族全員がワクチンをしていないのである。

 

これは家族全体の自己責任も良いところと思うが、治療依頼されて断る理由もないし、治療そのものが自分の大きな興味の対象なのでもちろん他の人と同じように治療を行う。(医師は普通はそうだと思う)

 

この高齢者はすっかり感染症前に戻ったが、だからと言って「やはりワクチンは不要だった」ということにならない。

 

ワクチン接種することにより、明らかに重篤になる確率が下がることがわかっているからである。(エビデンス)