初診予約で長期間待たされる理由 | kyupinの日記 気が向けば更新

初診予約で長期間待たされる理由

近年、精神科病院やクリニックでは初診しようとしてもその日に診察を受けられないことが多い。これは地方差は多少はあると思うが、どこも同じような状況だと思う。

 

精神科病院は減ることはあっても決して増えないし、クリニックも急激には増えていないと思われる。ただし、最近、開業したばかりのクリニックはその日に初診できる確率が高い。過去ログでは、精神科に限り、初診や転院ですぐには診てもらえない話を紹介している。

 

 

 

最近の精神科は、まず電話で予約して初診日を決めることが多い。その日に非常に精神症状が悪い場合、精神科救急ができる病院に受診するしかない。あるいは夜間の輪番病院である。

 

自分の病院は長い間、行ったらその日に診察してもらえる病院だった。この方針は変えたくなったのだが、そうもいかなくなったのである。

 

周囲の病院で初診患者をすぐに診ないような状況だと、その日に診察できる病院に患者が集中する。そうなると、1日に初診が4人という事態が起こる。また、市外から初診する人も増える。

 

僕は、過去に1日に初診を5人に診たことがあるが、これが外来では最高である。さすがに5人は1度だけだが、4人はかなりある。リエゾンだと初診は最高8人である。

 

これは明らかに医師の働き方改革に反していると言えよう。(過労死しかねないことを言っている)。

 

コントロールせずに初診を受け付けると、医師の負担が大きすぎるし、医師により受け持ち外来患者さんが多くなったりと不公平になり運営的に拙いのである。

 

またその日にいきなり診察せず、いったん情報収集して受付する方法はリスクを避けることができる。例えば稀に眠剤を集めているような人がいるからである。

 

そもそも、医師1人あたりの入院患者数は身体科に比べずっと多く設定されている。つまり身体科に比べ精神科医は遥かに多くの入院患者さんを受け持っている。それに加えて外来診療である。

 

また、働き方改革なる言葉が出てくる前に、厚生労働省は明らかに働き方改革に反する診療報酬に移行させたので、精神科医は無駄な雑用が激増している。例えば、デイケア患者さんは定期的にデイケア参加者の精神医学的評価をしないといけない。これはずっと以前はなかった仕事である。(この意図だが、厚生労働省はデイケア患者数を増やしてほしくないからである)

 

これらは、働き方改革の視点で、明らかにシンプルにすべきだが、シンプルになったものは僅かである。

 

なぜ無駄な雑用を増やしたかというと、日本の診療報酬の抑制のためである。しかし、世界的にみても日本の精神医療に関わる医療費は安価な方である。

 

このようなことから、時にトラブルになりかねない新規患者を簡単に受け付けるのはいろいろな意味で賢くない。これは精神科病院院長が言っているのである。

 

そのようなことから、遂にうちの病院では新患をその日には診ない方針に変更したのであった。運が良いとその日に診てもらえる。しかし、待ったとしてもせいぜい1週間くらいだと思う。

 

精神科病院が初診をその日に診ないのは、医療機関としてどうかと思うが(以前はそういう風に思っていた)、それなりに理由があるのである。