新型コロナ流行でも何も生活が変わらないという話 | kyupinの日記 気が向けば更新

新型コロナ流行でも何も生活が変わらないという話

外来患者さんの診察時に新型コロナ流行以前と生活がほとんど変わらないという話が出てきた。基本、引きこもりなので生活に影響を受けないというのである。

 

確かにグループホーム入所の人たちは、あまり生活が変わっていないように見える。日常、外出は食材やお弁当の買い物くらいしかしないからである。

 

それに対し日本国内の多くの人は生活が激変している。特に影響が大きいと思うのは大学生だと思う。彼らは多くのチャンスを失ってしまった。もう2年くらい新型コロナパンデミックが続いているので流行当初、新入生だった人も今年3年生になる。

 

自分の大学生入学当時を思い出せば、クラスの中で顔もろくに知らない人が多いと言った感じ。新入生の頃、コンパもたくさんあったし、クラスでキャンプに出掛けたこともあった。今の大学生はそのような楽しいことも容易ではなく、自然に引きこもりの生活にならざるを得ない環境である。

 

大学生の海外留学や夏休みの語学研修なども現在はかなり難易度が高い。若者のいろいろな可能性を強く制限しているといったところだと思う。このような環境だと恋愛のチャンスも激減している。若い頃は2度はないので大変な痛手である。

 

不登校の子供を診ているが、自宅でパソコンの遠隔授業がある時期は、「不登校」という点では問題がなくなった。パソコンの授業だと普通に受けることができるのである。

 

僕は不登校の治療は基本断っているが診る機会がそこそこある。例えば病院職員の家族。友人から特別に紹介されたり、患者さんの家族を診てほしいというのもある。基本、断っているのに病院職員の家族の不登校を診るのは、福利厚生のようなものである。

 

不登校の子供たちを診て思うのは、まず「不登校は決して珍しい疾患ではない」こと。不登校を「疾患」と言うのはどうかと思うが、精神科は正常に機能しない状況ないし状態を疾患とみなすのでそう呼んでも違和感はない。

 

これはアルコール依存症と大酒家の相違に似ている。つまり症状のボリュームと社会に適応できているかどうかである。この場合、疾患がパーマネントなものかどうかは問われない。実際、新型コロナ感染症もパーマネントな疾患ではない。

 

不登校が機能的な疾患に見えるのは、遠隔授業になると問題にならなくなることだと思う。むしろ成績は非常に良いという。しかし、遠隔授業が終わると登校が難しくなるのである。

 

今回は不登校の記事ではないので詳しくは記載しないが、不登校の子供の精神科治療は非常に興味深い。成人の精神疾患とはかなり相違があると思う。少なくとも治療を受けるかどうかは大違いである。(いつか記事をアップしたい)。

 

新型コロナウィルスの流行は、全世界の人に引きこもり状態を強いているものだと思う。

 

そう思う理由は、既に引きこもり状態の人たちはたいして生活に変化もなく支障も少ないからである。