脳の調整する能力と加齢 | kyupinの日記 気が向けば更新

脳の調整する能力と加齢

幼少時に落ち着きがなかった子供が、年長になると次第に落ち着きが出てきて、成績が向上することは良く見られる。これはADHDとは診断されないほどの子供で、次第に脳が成熟し他の子供に成長が追いつくといった感じだと思われる。

 

僕の子供の頃は男児にこのパターンが多く、女児は珍しいように見えた。こういう男児がいるので、小学校低学年は平均して女児の方が成績が良いのだろうと思う。

 

この成長には脳を調整する能力の向上も含まれている。つまり真にADHD的なものが全て解消しているわけでなく、環境に合わせる脳の調整力が上がっているのである。

 

そう思う理由は、そういう子供にADHD的所見が僅かに残っていることもよくあるからである。例えば、いつも貧乏ゆすりをするとか、遊びで怪我をしやすいとか、試験でうっかり内容を取り違って誤答するなどである(やや注意力が低い)。

 

ASDやADHDに限らず健康な人でも、脳の調整する能力はある程度の年齢まで達すると安定する。これらは社会的規範に沿う能力なども含まれている。

 

以下は、ASDやADHDのことを言っているのではなく、平均的な初老期の年代の人の話である。

 

たまに、定年間際で社会的地位の高い人が、万引きなどで逮捕されることがある。これらは公然わいせつなどの性犯罪のこともある。

 

もし万引きの常習者であれば、その年齢で初めて逮捕されることはかなり稀だと思われる。公然わいせつならなおさらである。

 

これは加齢により脳に何らかの変化が生じて起きた犯罪のように見えるケースがある。例えば、万引きをしたことを悪びれず本人が全く気にしていないなどである。

 

すぐに思い浮かぶのは、前頭側頭型認知症だと思う。(過去ログでは単に前方型認知症と記載)。

 

もし犯行時に前頭側頭型認知症のごく初期で健康な人との区別がつかない状態だと、処罰されるケースが遥かに多い。しかし、また同じことをしてしまうので、時間が経つにつれて、「この人は脳の疾患ではないか?」と気付かれるはずである。

 

明確に前頭側頭型認知症であれば責任能力がないので処罰は受けないが、既に新聞報道されているので、本人やその家族の不名誉についてはさほど救済されない。

 

ここで書いておきたいのは、このような微妙な年齢でこれまでの生活歴から到底しそうにない犯罪、しかも初犯のケースは、脳の検査や経過観察をした方が良いと言うことである。

 

実は、このような脳内の変化がほとんどないのに、そのような犯罪をうっかりしてしまうこともありそうである。

 

その人が触法性の極めて低い生活歴だった場合、上に記載した脳の調整能力が低下して起こっている部分があると思われる。しかしこの場合は、処罰されても抗弁しようがない。

 

上は、そういう人を気の毒だから免責しろと言っているのではない。脳の老化はいかなる人も避けられないもので、予想もしないことも起こることがあるといった注意喚起である。