新型コロナ肺炎と精神科病院の院外薬局 | kyupinの日記 気が向けば更新

新型コロナ肺炎と精神科病院の院外薬局

ここ数か月、コロナ自粛の影響もあり、ほとんどの医療機関の外来患者数が減少している。これは医療機関の経営状態を悪化させるだけでなく処方箋数も減少するため、院外薬局の売り上げもかなり下がっていると思われる。院外薬局の経営状態は悪化しているのである。

 

院外薬局はメインの病院やクリニック以外の病院の処方箋も受けつけているものの、どのような診療科の院外薬局かでストックしている薬が異なっている。

 

何が言いたいかと言うと、例えばレキサルティ、トリンテリックス、コンサータなどはどこの調剤薬局にもあるわけではないこと。

 

精神科病院の院外薬局はかなり種類の向精神薬をストックしている上に、その剤型も多い。これはリエゾンをすると特にその差を感じる。総合病院では電子カルテを検索すると、院内薬局あるいは院外薬局にその薬があるかどうかがわかるようになっている。例えば、セロクエル(クエチアピン)はあったとしても25㎎錠しかなかったりするので、300㎎処方すると錠数的に大変な事態になる。セロクエルだけで1日3回投与なら、毎回4錠ずつ服薬せねばならないのである。同じようなものにエビリファイ(アリピプラゾール)が挙げられる。エビリファイもたいてい3㎎錠しかない。この2剤は処方用量の幅が大きすぎるのである。

 

このようなことから精神科に限らないが、どのような薬を扱うかで、それぞれの院外薬局は特殊性があるのである。

 

もし、ある精神科病院の院外薬局で新型コロナ肺炎患者が出たとしよう。その院外薬局の新型コロナ肺炎患者さん以外の社員がしばらく家庭内で経過観察するとしたら、院外薬局はしばらく閉鎖になる。

 

ところが、精神科病院からの処方箋は近所の調剤薬局ですぐに調剤できるわけではないのである。また、近くの精神科病院の調剤薬局に行けば薬があると思うが、普通は近くはない。とりわけ精神科患者さんには極めて難しい事態である。

 

調剤薬局が何店舗もあるような大規模な会社であれば、人員をすぐに融通できるかもしれない。コロナ肺炎の流行の時期は、異なる会社の調剤薬局相互の連携・協力が必要になってくると思われる。実際のところ、コロナ肺炎が起こった調剤薬局に派遣されるのはみんな嫌うと思うので、簡単には行きそうにない。

 

ちょっと考えただけで大変な事態になるのが予想できる。このようなところにも医療崩壊が起こってきていると思う。