新型肺炎流行と精神症状の影響について | kyupinの日記 気が向けば更新

新型肺炎流行と精神症状の影響について

現在、新型肺炎を封じ込めるために、全国の小中高校を臨時休校するアナウンスがされている。学期末とは言え全国的な影響はかなり大きい。そもそも、これでパンデミックが多少でも抑えられるのか?という問題もある。

 

ある場所で新型肺炎の患者が出た場合、そこに濃厚接触者がいるわけで潜伏期の期間を考慮すると一時的に働けなくなる人たちがかなりの数になる。その家族も考慮すると更に増える。この状態を放置すると、医療を含め都市機能が麻痺する事態になりかねない。

 

今回のような国全体を揺るがすような感染症の流行は、このブログ的には「非日常の環境」と記載している。

 

このような時期、既に何らかの精神疾患をを持つ人は、相対的に症状が軽くなる人が多い。

 

これは交感神経の緊張状態によりうつ状態が軽くなるメカニズムのように見えるが、そう簡単なものでもなさそうなのである。

 

そう思う理由はパニック障害でさえ症状が軽くなるからである。また統合失調症のように交感神経の緊張が悪化をもたらす疾患も症状が軽くなることが多いこともある。

 

単純に交感神経優位の状態が精神症状へ好影響を及ぼすと思われるケースとして、ADHDの症状の軽症化が挙げられる。その子は今回のような非常事態の際にコンサータが必要でなくなったのである。その子が不必要にコンサータを服薬していたわけではなく、紹介状の内容を見る限り、投与に至る経緯は理解できるものだった。

 

今回のケースは出社を控え自宅待機を要請している企業もあるので、職場環境のストレスで精神症状が悪化している人たち(適応障害的な人)は、ストレスの減少により症状が軽くなっておかしくない。しかし、今回の記事にはこのような人たちは含めない。

 

中~長期的には、この時期の軽症化の反動が来ることが多い。巨大な非日常の環境がしばらく続いた後、調子を崩す人が多い。それは非日常が緩和ないし解消されて数か月後である。

 

この時期の精神的なストレスはあるのだけど、実はそれが感じられていないだけなのである。

 

この現象は海外に留学や就労した際、しばらくはとても調子が良かったのに、数か月後ないし数年後に現地ないし帰国後、悪化する人たちのメカニズムに近いのではないかと思う。

 

これはおそらくPTSD的なものではなく、ある一定期間、脳に特別な負担をかけていることの結果だと思う。

 

結論的に言えば、今回の新型肺炎の流行は、一時的に精神症状を緩和させるが、中~長期的には良くはないと言ったところだと思う。

 

新型肺炎の流行は精神疾患にも治療的ではないのである。

 

参考

精神疾患における非日常の考え方(12)

同伴者がいないとわかりにくい精神症状