今年の年賀状のことなど(2020年1月)
毎年、年賀状は自宅だけでなく病院にも来る。特に患者さんは自宅の住所を知らないので病院に来ることが多い。一部、お年寄りなどは自宅に直接来る人もいる。
なぜ自宅住所を知っているかと言えば、受付の人がうっかり自宅住所を教えたためである。うっかり教えてしまった理由だが、「お歳暮を送りたい」と僕の住所を聴いたからである。このようなことは精神科病院ではスタッフがしっかりせねばならないことだが、約15年くらい前までその辺りがかなりルーズだった。ある患者さんに僕の携帯電話番号を教えてしまったことすらある。これも患者さんから僕に「質問したいことがある」と言われ、うっかり携帯電話番号を教えてしまったのである。
年賀状は1日と3日に来るが、1日に来るのは全体の3分の2ほどである。結構遅れる人が多い。今年は、あて先不明で戻ってきた年賀状が7枚くらいあった。戻ってきた年賀状で、相手から来ないものは住所を削除する。毎年出しているのに相手から来ない年賀状も結構あるように思う。
うちの病院職員は、基本、年賀状、お歳暮、お中元は出さないで良いルールになっており、希望者のみ出している。おそらく若い人には年賀状は面倒だと思うので、こちらも気を遣っている。実は僕もメールで十分だと思う。そのようなことからコメディカルスタッフで年賀状が来る人は5分の1程度。
問題はうちの病院を辞めた人たちである。ずっと年賀状を出している人でもこちらから止めることはないので、延々と続く。おそらくずっと以前に勤めていた病院のスタッフにも20年以上、ひょっとしたら30年近く出しているような気がする。ある年、年賀状が戻ってくることがある。これは住所変更を連絡しなかったためにこうなったわけで、「今年で年賀状は終わりにしましょう」という意思表示と考える。だいたい住所変更されたら調べようがない。
昨年末の年賀状の記事を書いていて、
いつも一筆何を書いたら良いものか迷う。例えば、
今年も頑張りましょう!
なんて僕にはかけない。いつも差し障りのない、悪く言えばインパクトのないことばかり書いているような気がする。
という部分に思うことがあったので付記。
特に統合失調症の重い人の場合、本人が頑張れる部分はかなり少ないと思う。ある日、保護室の患者さんを診た直後、一緒にいた看護師さんに言ったことがあった。
あのくらい病状が悪いと、本人は頑張りようがないですね。
と言った。彼はその時、幻視、幻覚が活発で、壁を指して「白鳥が3羽いる」なんて言っているのである。これは本人にはどうしようもない。
つまり、
今年も頑張りましょう!
このフレーズだが、実は主治医こそ頑張らないといけないのである。「それを患者さんの年賀状に書いてどうする!」と言ったところ。だから、書けないんだと思った。書けない理由は他にもあるんだけどね。